下落相場の底打ちを探る4つの方法

2016年3月末から、ドル円相場は113円台から107円半ばまで6円の下落となりました。
ドル円を上の方で保有している人は、いつ相場が底打ち上昇となるのか不安です。逆に、ドル円を売っている人も、どのあたりで利益確定を行えば良いのか悩むところです。
そこで、今回の相場をケーススタディとして相場の底打ちを探る方法を見ていきたいと思います。
目次
調整幅で見極める
これは、下落相場の調整時の上昇幅で判断するという方法です。
今回の下落の場合、4月1日に米国の雇用統計を挟んだものの、その調整幅はほぼ60銭と非常に規則的な下落となっていました。
つまり、この調整のリズムが崩れた時(=60銭以上上昇した時)が底打ちのサインと見ることができます。
チャートを見てみましょう。
■ドル円4時間チャート

3月29日に緩やかな短期上昇相場、少し長いスパンだと111-115円のレンジ相場から下落相場に転じました。その間に調整は4回ありました。
4月8日になった瞬間にドル円は107.66円まで下落しましたが、しばらく乱高下となり2時過ぎに反転。それまでの調整幅であった60銭を越えるレベル、108.30円を上回った時点で底打ち上昇となると考えられます。
移動平均線で見極める
これは、移動平均線を上回るか否で判断するという方法です。
メジャーな移動平均線は20日ですから、こちらで検証します。
この下落相場では1時間チャートの20日移動平均線が下落のリズムと合っていました。ですから、底打ち上昇の判断は『20日移動平均を終値で上回る。』としました、長い上髭を付けた場合は無しとします。
■ドル円1時間チャート

すると、4月6日の10時に20銭の陽線となり移動平均線を上回りました。短いですが36時間ぶりの動きです。前日の深夜に109円台から切り返す動きとなっており、期待ができます。
しかし、次の足では10銭ほどの上髭となり、再び下落。その後安値を更新してしまいました。
次は、4月8日の9時です。ちょうど東京株式市場が開く時間で、日本市場が開いた後もドル円は上昇していきました。
ですから、108.50円付近で底打ち上昇と判断できます。
トレンドラインで見極める
これは、水平線やトレンドラインを引いて判断するという方法です。
実際にチャートの節目となる価格にラインを引いていき、その価格を割り込むと下落が加速するという相場になっています。
■ドル円1時間チャート

112.00円、111.10円、110.90円とラインを引いていきますが、いっこうにこのラインを越えてくる気配がありません。4月7日には、高値と高値を結んだトレンドラインも引くことができます。
下落が急になってきたので、オレンジ色のラインも引けるかもしれません。
その後、7日の夕方の戻り高値である108.57円に引いた水平線を8日の9時に終値で越えてきたので、ここで底打ち上昇と見ることができます。
ファンダメンタルズで判断
ちょっと複雑になりますが、ファンダメンタルズ分析でみていきましょう。
4月に入り円高になると、輸出企業のドルから円に戻す動きが出やすいといわれています。今回の相場では、東京時間にドル円が上昇した4月6日の午前中のみでした。ここでは、値動きに勢いがなく、日経平均も反発とはなりませんでしたので、見遅れます。
そして、8日はSQですので、海外の短期筋が日経平均を売り込んでいるとなると、金曜日に反転上昇し易いと考えられます。SQ値は9時0分30秒に決まりますので、その後ドル円を買いで入るという戦略となります。
前日のファーストリテイリングの決算が50%減益となり、相当の波乱が予想されたこの日の東京株式市場。この戦略も外れそうな展開です。
しかし、ドル円はほぼ無風で上昇し、日経平均は9時41分に底打ち。
結果的にドル円相場は7日のNY時間に底を打ち、8日金曜日の東京市場で上昇。日経平均株価も、安値15,471円から高値は16,027円と500円以上の上昇幅を記録しました。
複合的に判断
上の4つの判断材料では、調整幅のリズムが崩れた時に底打ちと判断すれば、一番良いところで買うことができました。
その他の3つの判断材料では、108.50円付近とどれも同じ価格で同じ時間となっています。
今回のケースでは、たまたま調整幅での判断が優れていましたが、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の両方を組み合わせて売買戦略を組むとより精度が上がってくるのではないかと思います。