『ルポ西成』4年後…観光地化、迷惑ユーチューバー横目にドヤで12年クソゲーに勤しむ生活保護受給オヤジ
ホテル一泊2000円以下、大阪駅まで電車で16分、通天閣からは徒歩1分の場所にある西成区あいりん地区。日本最大のドヤ街かつ日本屈指の治安の悪さを誇るエリアとして長らく知られてきたが、近年は観光地へと変化しつつある。「みんかぶプレミアム:特集『大阪沈没~名古屋に完敗、福岡に抜かれる』」第10回はベストセラーノンフィクション『ルポ西成』の筆者が、4年後のこの地と住民の姿を描写。西成は変わったのか、変わらないのか。
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コロナ禍により西成の街に移り住んだ人たち
私は『ルポ西成(彩図社)』という本を執筆するため、2018年に3カ月ほど西成で暮らしていたことがある。その頃から、ドヤ(簡易宿泊所)として運営していた宿がホテル風に改装するケースが増え、そこを外国人バックパッカーが安宿として利用するようになった。とはいえ、日中は大阪観光に費やし夜はドヤで寝るだけというスタイルのため、通行人のほとんどは昼間から酒を飲んでいる街の住人たちであった。
その様相が大きく変わったキッカケは、やはりコロナ禍の到来である。当然、外国人観光客は街から姿を消したわけだが、代わりにドヤの空室を埋めたのは経済的に困窮に追い込まれた働き世代の日本人たちだった。ドヤの多くは冒頭でも述べたように1泊2000円以下で泊まることができ、長期で滞在をするとなると割引が利くため、1カ月5万円ほどで滞在することができる。さらに水道光熱費はかからないし敷金や礼金もない。改装によって一般的なビジネスホテルに引けを取らないほど清潔になっているので、もはやそのへんのボロアパートに住むよりもはるかに快適なのである。
現在、ドヤでよく目にするのがフードデリバリーのリュックを背負って入館する人たちだ。なかには配達をしに来ている人もいるかもしれないが、ほとんどが宿泊客である。ドヤに長期滞在をしながら、大阪市内でフードデリバリーの仕事をして生活費を稼いでいるのだ。このスタイルは巣ごもり需要の高まりもあり、かなり増えたように思う。