「食料品は百円ショップ」「あと3カ月でホームレス」…アメリカで大恐慌が始まっていた!(みんかぶ特集「米国株の底値」)
アメリカ社会を襲う、異常なまでのインフレ。日本人には実感しづらいことだが、ドル高円安が進む中、今ではアメリカと日本では、少し前には考えられなかったほどの、モノの値段の違いが生じている。みんかぶプレミアム特集「米国株の底値」(全10回)の第9回は、超インフレ下のアメリカの物価高を現地在住のライターが分かりやすく伝える。
今のアメリカは「失われた30年」の日本以上に恐ろしい
インフレが8%を超えて高止まりのままで、家のモーゲジローン(不動産担保ローン)は6.75%のアメリカ。お洒落なルーフトップ・バーのブランチは、ウオッカのカクテルが26ドル、ハンバーガーが41ドル。こんな話をすると、デフレに疲れた日本人の経営者やエクゼクティブからは「うらやましいです。価格を上げてもやっていけるアメリカで仕事をしたいです」と言われますが、普通の生活をしている身としてはとんでもないことです。今でもアメリカは格差社会になっており、このままいくと「失われた30年」の日本以上に恐ろしい将来になりそうです。
まずアメリカ人の年収の平均値は、アメリカ合衆国統計局によると6万6755ドルで、より実態に近いとされる世帯中央値は4万6001ドル(約680万円)。これでは41ドル(約6000円)のハンバーグを気軽に食べるなんて無理ですよね。
こうした生活をしたいなら、アメリカのトップ1%、年間40万ドル(5920万円)ぐらいの年収を稼ぐ必要があります。このトップ1%ならば40ドルのハンバーガーも庶民の4ドルと同じ感覚でしょう。
日本では「シリコンバレーでは年収14万ドル稼いでも、低所得者とみなされる」というような記事がよく見られますが、それはアメリカの中でも本当にレアな世界です。日本でも東京の港区在住の裕福な人たちの生活は、他の地域に住む普通の日本人とは別世界ですよね。実際、日本でも外資系のインターコンチネンタルホテルとかに泊まると、朝ごはん4000円、コーヒー1杯1500円なんて言われてびっくりしてしまいます。でもこれってランチが680円で食べられる日本の中ではレアな世界ですよね。
アメリカでも同じことで、14万ドルも稼ぐのはトップ9%とやはり特別な人です。低所得者なんかでは全然ありません。本当のアメリカ人、つまりどこにでもいる一般的なアメリカ人の実態はというと、先日のフォーブスの記事に驚愕(きょうがく)の数字が出ていました。