開成や青学中で著作が出題された最注目作家…中学受験、4、5年生のうちに読んでおくべき本、難易度別リスト

中学受験において、国語は得点が不安定化しやすい科目だ。国語は毎回、異なる問題文を読み、作者の言いたいこと、登場人物の心情などを読み取る必要がある。
特に物語文は、まだ小学生である子供たちにとって、出題者や作者、登場人物の立場をイメージして考えることは難しく、上手くハマった時とそうでないときで、得点に浮き沈みが生まれやすい。
「受験生にとって、国語は“毎回違う問題が出る厄介な教科”のように思えるかもしれません。しかし、中学受験の物語文は、後述する7パターンに分類できます」
そう断言するのは、中学受験鉄人会の貝塚正輝氏だ。貝塚氏は中学受験での国語の出題傾向を分析し、毎年出題作品を的中させているプロフェッショナルだ。
「物語文のパターンを知って、俯瞰的な読解ができるようになれば、点数は自然と安定します」
物語文のパターンとは何か、6年生が今から取り組める国語の成績向上策は何か、4・5年生は今から何をやるべきか伺った。短期集中連載「4,5年生が“今のうちに”読んでおくべき本、6年生が“今から”できる即効で効果が出る勉強法!」第2回ーー。
目次
4、5年生が“今のうちに”読んでおくべき本 難易度別リスト
4、5年生は受験本番や模試で出た良書を、時間的に余裕のある今のうちから積極的に読み、読解の地力を養うことをおすすめします。
中学受験でよく出るテーマに対する理解を深めるために、おすすめ書籍を作品の難易度別にリストアップしました。
【学校のタイプ】ですが、「リストアップした作品と同じタイプの作品を出題する傾向のある学校」という趣旨です。リストアップした作品を出題すると予想される学校という趣旨ではありません。志望校が【学校のタイプ】に含まれている場合には、「志望校対策の一環として読んでおくとよい書籍」としてご覧ください。
物語文を解く際には、登場人物の行動や心情の変化を通じて、どのテーマに焦点が当てられているのかを意識することが重要です。
3年生以下の場合はテーマを意識しながらの読書は難しいですが、4年生からは、読書の際にただ読むだけでなく、作品がどのテーマに当てはまるだろうと意識しながら読むことが良い訓練になります。
6年生は直前期ですので、小説を読んでいる時間的な余裕はなかなかないでしょう。効率よく力を伸ばすための方法を次の記事で記載しますので、そちらをご確認ください。
開成や青山学院中等部などで著作が出題された最注目作家の傑作
★『月の立つ林で』青山美智子(ポプラ社)

【作品の難度】難しい
【対象学年】5年生
【作品の内容・テーマ】
近年の中学受験最注目作家・青山美智子氏による連作短編集です。
開成中や青山学院中等部などで著作が出題されてきました。
元看護師や芸人、二輪自動車整備士など仕事も生活環境も様々な人々を主人公とした5編の短編が収録されています。
特におすすめしたいのが、千葉最難関校の一校、市川中でも出題された『ウミガメ』です。友達がおらず、母親からの愛情も感じられない主人公が、思いがけず出会ったクラスメイトとの心の交流をゆっくりと重ねて行く過程が描かれています。
「友人関係」、「恋心」、「苦境に向き合う」といった重要テーマを学ぶうえでの貴重な教材です。
【出題された学校】
市川中、洗足学園中、明大八王子中、江戸川取手中
【学校のタイプ】
児童書ではなく一般文芸書の短編集から、中学受験的重要テーマを題材とした作品を出題する傾向のある学校。
慶應普通部・渋谷教育渋谷中・海城中など
洗足学園、サレジオ学院、品川女子などが好むテーマが「挫折からの再生」
★『おにのまつり』天川栄人(講談社)