開成263人、桜蔭180人、渋幕440人…中学受験の王者SAPIXが王者たる理由は「全くぶれない〇〇」学力を伸ばす圧倒的アドバンテージ

開成や桜蔭といった最難関校、その合格者の7〜8割がサピックス生だ。中学受験ではこの状況が、もはや「当たり前」のように受け止められている。
しかし、冷静に考えてみると、高校受験や大学受験では、特定の塾がここまでトップ校の合格者シェアを独占することはない。東大や京大の合格者数のうち、大手予備校の東進や駿台、河合塾などの占める割合は全体のそれぞれ2〜3割程度に過ぎず、当然塾なし合格者も存在する。
なぜ、中学受験だけは、サピックスの圧倒的一強体制が続いているのか?
今や、多くの家庭がサピックスを選び、それが「受験の王道」となっている。気づけばなんとなくサピックスに通わせる家庭も少なくない。
さぞかし、教師や教材の質が高いのかと思いきや、プロの目から見ると決してそんなことはないという。
「サピックスの教材や講師の質は『普通』です。プロから見れば特別にクオリティが高いわけではない。サピックスの強さの秘訣は、それとは全く違うところにあるんです」と、進学塾VAMOS代表の富永雄輔氏は語る。
なぜサピックスだけが勝ち続けるのか?その強さを生かせる家庭と、そうでない家庭の違いとは?今回の連載では、その疑問について掘り下げていく。全3回の第1回ーー。
目次
指導者が気づいた「サピックスだけの特権」
中学受験界隈では、どの塾も他社の教材を取り寄せて分析しています。サピックスの教材も毎年拝見していますが、良くできた教材であることは間違いないものの、極めて優れた点があるわけではありません。
「演習量を積むより、理解や思考に重きを置いているな」とか「トップ校を目指す子たちに向けた問題が網羅されているな」という特徴はありますが、何か特別な仕掛けがあるわけではありません。
講師も優秀な人は多いですが、他の受験塾に比べて突出しているわけではないと思います。かつて、少数精鋭の塾だった時代と異なり、今やサピックスはどの駅前にもある「定番塾」と化しています。校舎数の多さを考えると、講師の質がサピックスだけ高いということもありえません。
では、サピックスの強みとは何か。それは「トップ校に強いサピックス」というブランド力です。このブランド力は大きく2つの効力を持っています。
生徒の学力を伸ばす上で大きなアドバンテージ
一つ目は優秀な生徒の獲得です。