なぜアマプラ『ドキュメンタル』はイマイチ面白くないのか…テレビはコンプライアンスが厳しくなったからつまらなくなったわけではない(三谷三四郎)

最近、めっきりテレビを観なくなった。なんなら、もはや家にテレビがない。若い世代の中にはそんな人も増えてきた。そういった話題になると必ずと言っていいほど、「テレビってつまらなくなったよね」という声が聞こえてくる。
しかし、YouTube番組『街録ch』を運営するテレビディレクターの三谷三四郎は「テレビはつまらなくなっていない。むしろ面白くなっている」と話す。その真意とは。みんかぶプレミアム特集「テレビ 終わりの始まり」第6回。
構成/國友公司
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テレビを観なくなったのは「テレビが不便だから」
――三谷さんはテレビを観なくなったそうですね。よく「テレビはつまらなくなった」と言われますが、そこに関しては同意見ですか。
僕は「テレビはつまらなくなった」ってかなり雑な意見だと思っているんですよ。みんながテレビを観なくなった理由って、「不便だから」なんです。だって、『水曜日のダウンタウン』がYouTubeで毎週配信していたら、多くの人が間違いなく毎週欠かさずに観ると思うんですよね。
――今は「TVer」を使っている人も多いと思いますが。
僕も「TVer」は使っていますが、やっぱり使いづらい。CMの量が多すぎて。待っていられない。お金を払ってCMを飛ばせるようなプランがあったらぜひ入りたいくらいなんですよ。
――そう。本当に「TVer」は使いづらいですよね。テレビだけを観ていた頃はCMも気長に待てていたのに、「TVer」だと異常なストレスを感じる現象が起きている気がします。
待たなくてもどんどん見せてくれるコンテンツプラットフォームがもう存在しちゃっているからじゃないですか。便利なものには敵わないですよ。今、便利なものとして馬車乗る人なんていないじゃないですか。だから、テレビってつまらなくなったから視聴者が離れているわけじゃなくて、単純に不便なんです。バカリズムさん脚本の『ホットスポット』という日テレの日曜ドラマが今むちゃくちゃ面白いんですけど、テレビだけじゃなくNetflixでも配信されているので、やっぱりNetflixで観ますからね。
『ガキ使』と『めちゃイケ』の決定的な違い
――2020年に開設した『街録ch』ですが、チャンネル登録者数がすでに160万人を超していますね。生粋のテレビマンが運営していると思いきや、三谷さんは初めなんとなくテレビ業界に入ってきたそうで。
三谷三四郎(以下、同)
そうなんです。特に就きたい職業もないまま就活のタイミングになってしまったときに、テレビが好きそうな私を見た親から「テレビ局とか応募してみれば?」って言われて「いいかも」と思ったところが始まりでした。お笑いが好きになったのも大学1年生と遅いんですよ。僕の世代だと小学生のときから『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』とか『めちゃ×2イケてるッ!』とか、みんな観ていたはずなんですけどね。