サピックスに向いている子・向いていない子の特徴……中学受験大手塾の失敗しない選び方「『とりあえず』で選んじゃうのは危険です」

中学受験において親ができることとして、塾選びは最も重要な意思決定だ。四大塾である、サピックス・早稲田アカデミー・四谷大塚・日能研のどれを選べば良いのか。塾経営者で、Xにて2.7万フォロワーを誇る教育インフルエンサー・中学受験を考える塾長氏は、「とりあえずサピックスは危険です」と話す。いったいなぜなのか。みんかぶプレミアム特集「天才の育て方」第5回。
目次
大手中学受験塾において、なぜサピックス一強なのか
結局のところ、中学受験の大手塾選びにおいて「サピックス一強」のような状況になっている理由は、単純に合格実績の良さが優秀な生徒を引き寄せる好循環にあると考えられます。「思考力を育てる」という教育方針は、私には実績を後付けで説明するためのものに感じてしまいます。
2005年から2006年頃は日能研が勢いを持ち、サピックスに迫る勢いを見せていました。しかし、興味深いのは両塾がその後も基本的な指導方法を大きく変えていないという点です。そのため、日能研が今やどちらかというと中堅校向きの塾になっているのは意外な印象があります。この時期は日能研が特に優れた合格実績を叩き出していましたから。
結局、上位層の合格実績が塾の評判に直結する、ということではないでしょうか。御三家(開成・麻布・武蔵、桜蔭・女子学院・雙葉)だけでなく、その他の上位校への合格者数が増えることで、サピックスの人気は着実に高まっていきました。
サピックスと日能研は対照的な特徴を持っています。特に顕著なのは授業の進度で、サピックスは非常に速いペースで進みます。日能研はそれと比べると進度は緩やかです。四大塾の一角である早稲田アカデミーは後追いで中学受験塾市場に参入してきました。
今、サピックスに迫る勢いを見せているのは早稲田アカデミーですが、それも単純に早稲田アカデミーの実績が伸長しているからだと思います。それもあってか、最近、より上位層を意識した教材に変更されたようです。今後、勢いのある早稲田アカデミーがサピックス一強の構図を崩していくのかもしれません。
日能研がおすすめな子はどんな子か…そもそも中学受験をしても良い子は学校のテストで何点を取れる子か
中学受験のボリュームゾーンを形成しているのは、公立小学校のテストで80〜100点を取得している生徒たちです。この層において、常に100点を取る生徒と時々90点台になる生徒との実力差はそれほど大きくありません。
しかし、テストで80点程度を時折取れる程度であれば問題ありませんが、それが最高点であれば中学受験は再考した方が良いでしょう。そのレベルでは受験の厳しい競争を勝ち抜くのが難しいためです。
日能研は他塾と比較して授業の進み方がそれほど速くないという特徴があります。そのため、学習についていけなくなり、置いてけぼりにされるリスクが比較的低いというメリットがあります。お子さんに心理的な負担や身体的な負担をあまりかけずに、お子さんに合った中学校に進学させたい家庭におすすめです。