25年度入試で医学部合格者数を激増させた首都圏の中高一貫校3選…無名校から東大二桁合格まで躍進、医学部合格者数をここ1年で倍増させた学校はどこだ

近年、終身雇用制の崩壊や日本の情勢の影響を受け、医学部の人気が非常に高まっている。
文部科学省によると、2024年度入試における全国の医学部医学科受験者数は、全体で12万102人、合格者は1万3,871人、合格率は11.5%だったという。つまり、医学部受験はおよそ10人に1人しか合格できない非常に狭き門であるということだ。
一昔前と比べても、東大合格者数と並んで医学部合格者数は、各進学校の実績を測る上で重要度が増していると考えられるだろう。そんな厳しさを増す医学部入試において、2025年度に合格者数を伸ばした首都圏の中高一貫校を、学歴活動家のじゅそうけん氏が紹介するーー。みんかぶプレミアム特集「医学部受験 完全攻略法」第1回。
目次
2025年度入試で医学部合格者数を伸ばした中高一貫校その1…無名校から県内私立トップ校に。25年度医学部73名合格
2025年度入試で医学部合格者数を伸ばした中高一貫校その1は、栄東高等学校だ。
2024年度入試の医学部医学科合格者数49名から、2025年度入試では73名にまで実績を伸ばした。
埼玉県さいたま市に所在する名門共学進学校で、運営母体は学校法人佐藤栄学園。同県内にありスポーツ強豪校として有名な埼玉栄高校や、2017年夏の甲子園で埼玉県勢初の優勝を果たした花咲徳栄高校と同系列の学校である。
数十年前までは全く進学校と呼べる存在ではなかった本校だが、2005年に、中学に「東大クラス」を立ち上げたことが、その後の躍進のきっかけとなった。
当時、栄東高校から東大合格者はほんの数名しか出ていなかった中で、世間からの冷笑もあったが、それ以降は首都圏中学受験の本命2月受験の前受け校としての地位を確立。
今や中学受験で最も受験者数の多い学校に成長し、県内の私立校では東大合格者数ナンバーワン校の地位を盤石なものにしている。2025年度入試でも、東大に12名の合格者を出している。
東大コースには都内御三家落ちの秀才も多い…2016年には東大文系の主席も輩出
本校の人気向上には2つの要因がある。
1点目はコース制の東大クラスと難関大クラスを展開していることだろう。
生徒募集が軌道に乗り出したのは、このコース分けが始まってからだという。
実際、東大コースには都内御三家落ちの生徒も多く、レベルの高いかつリベンジに燃える生徒の多い環境は好影響がありそうだ。実際2016年の東大文系主席は本校の東大コース出身であり、中学受験で御三家に落ちた悔しさをバネに鍛錬を重ねていたという。
栄東が、さらに実績を伸ばしそうな理由
また、成績向上に向けての手厚いサポートも、合格実績に一役買っている。
本校には「SCC(栄東キャリアクラブ)」という校内予備校があり、学内の教員だけでなく外部の塾の各教科専任の講師が担当し、講義を行うのだという。こちらは毎日開催される訳ではないため、高校2~3年生にもなると近隣の大宮駅の駿台や河合塾の現役館を教科や講座を絞って利用し、効率のいい成績向上を測る生徒もいるのだとか。
SCCは21時頃まで授業が開催されるため中々ハードな日々だが、系列のスポーツ強豪校の生徒が同じく21時頃まで部活にはげみ全国で結果を出している経緯を考えると、系列校の中でも勉強に振り切った本校がこのような取り組みを行っているのは妥当なのかもしれない。
近年埼玉県内では、伝統の公立別学校の共学化など、大きく状況が変わりそうな風が吹いている。
仮に共学化が実施され公立校の立ち位置に変動が起きれば、高校受験のトップ層をも取り込み、更に実績を伸ばす可能性も大いにある。
今後の本校の動向、そして埼玉県内の受験事情には要チェックだ。