マンション転売の餌食となった晴海フラッグの末路…令和のマンションバブルと平成バブルとの違い

ここ数年、都心部の不動産価格が急騰している。そんな中、自宅として購入したマンションを売却し、数千万円単位の値上がり益を得る人も少なくない。
その一方で、『新・空き家問題ーー2030年に向けての大変化』 (祥伝社新書)などの著書もある不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏は「今のマンション市場は、さながらバブルの様相を呈しています」と警鐘を鳴らす。
今後、マンション市場はどうなるのか。住まいや住宅ローンについて、どのように考えれば良いのか。同氏に聞いたーー。全4回の第1回。
目次
1年半で坪単価が倍に…超高級マンション価格の異常な高騰
ーー都内の超高級マンション価格は近年どのような推移を見せているのでしょうか?
最近の都内タワマンの平米単価を見ると、2023年から2024年にかけて約3割上昇しています。具体例をお話しすると、2023年に分譲された「三田ガーデンヒルズ」という高級物件があります。分譲時点では専有坪単価1300万から1400万円程度、最も小さい部屋(80㎡台)でも3億円を超える価格で販売されていました。
ーーその後、価格はどうなったのですか?
驚くべきことに、この物件は引き渡し直後から転売目的で市場に出回り始め、現在では専有坪単価2700万円から3500万円ほどで売りに出されています。わずか1年半の間に坪単価で2倍から3倍近くもの価格上昇が起きているのです。
ーー他の物件でも同様の現象は見られますか?
はい、「晴海フラッグ」でも確認されています。東京オリンピック・パラリンピックの選手村として使用された後、一般分譲された同物件は、当初専有坪300万円前後で販売されていましたが、引き渡しから1年経った現在では専有坪600万円から800万円と、2倍以上の価格で売り出されています。
これはもはや住宅としての価値ではなく、単なる投資ゲームとしてマンションが売り替えられている実態を示しています。そもそも住む目的ではなく、多くの方が投機目的で購入したことが明らかです。たった1年で売りに出すということは、よほどの事情がない限り、普通に住む人ならしないことですから。
公共性を失った「晴海フラッグ」…マンション転売を狙う人たちの格好の餌食に
ーー晴海フラッグは当初どのような狙いがあって開発されたのですか?
晴海フラッグは元々東京都の所有地であり、オリンピック選手村として使用した後、比較的安価に都民に提供するという公共的な目的がありました。
ーーその公共的な目的は達成されたのでしょうか?
実は以前、東京都の担当者とテレビ番組の楽屋で話す機会がありました。その方は「デベロッパーに分譲してほしいと声をかけているのに、誰もいい顔をしない」と話されていましたね。
ーーなぜデベロッパーは積極的ではなかったのですか?