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ペアローンを組んで背伸びしてタワマンを購入している人たちの末路…見落とされがちなのは、管理費・修繕積立金の上昇

 ここ数年、都心部の不動産価格が急騰している。そんな中、自宅として購入したマンションを売却し、数千万円単位の値上がり益を得る人も少なくない。

 その一方で、『新・空き家問題ーー2030年に向けての大変化』 (祥伝社新書)などの著書もある不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏は「今のマンション市場は、さながらバブルの様相を呈しています」と警鐘を鳴らす。

 今後、マンション市場はどうなるのか。住まいや住宅ローンについて、どのように考えれば良いのか。同氏に聞いたーー。全4回の第3回。

目次

ペアローンを組んで「背伸び」している人たちに訪れる危機

ーー不動産価格高騰の中で「ペアローン」を組む人が増えていると聞きました。これにはどのようなリスクがあるのでしょうか?

 高騰する不動産市場の中で、自分が住むために「背伸び」をして購入する人も少なくありません。特に夫婦がそれぞれローンを組む「ペアローン」で変動金利を選ぶケースでは、見かけの金利が低いために多額の借り入れが可能になり、ギリギリの生活を強いられることになります。こうした購入者が直面するいくつかの大きなリスクがあります。

 最も大きなリスクは金利上昇です。日銀がすでに昨年から利上げをスタートさせ、今後も上がると予想されています。長らく続いた超低金利時代は終わりを告げ、金融政策の正常化が進んでいるのです。

ーー具体的にどのくらい返済額が変わるのでしょうか?

 変動金利で住宅ローンを組んだ人々にとって、この金利上昇は家計を直撃します。例えば、1億円の住宅ローンを変動金利0.5%で35年間借りた場合、当初の返済額は月々約25万円程度ですが、金利が2%に上昇すると月々約33万円と、約8万円も返済額が増加する計算になります。

ーー今から対策することはできますか?

 金融機関の変動金利もすでに上昇しており、今から固定金利に乗り換えようとしても、すでに固定金利自体も上がっています。つまり、変動金利のリスクに気づいて固定金利に切り替えようとしても、すでに「手遅れ」になりつつあるというわけです。

見落とされがちなのは、管理費・修繕積立金の上昇…どれくらい上昇しているのか

ーー住宅ローン以外にも費用が上がるリスクはありますよね。

 見落とされがちなのが、管理費や修繕積立金の上昇です。建築資材の高騰や人件費の上昇により、マンションの維持管理コストは急上昇しています。この5年間で管理費は2倍以上になっています。

ーーそれはどのくらいの負担増になりますか?

 例えば月3万円だった管理費・修繕積立金が6万円程度になると、年間では36万円の負担増となります。これは手取り月収30万円の世帯にとっては、1ヶ月以上の収入に相当する金額です。

ーー特に注意すべき物件はありますか?

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この記事の著者
牧野知弘

不動産事業プロデューサー。東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現・みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て三井不動産勤務。J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て、2015年にオラガ総研株式会社の代表取締役に就任。ホテルなどの不動産事業プロデュースを展開している。著書に『なぜマンションは高騰しているのか』(祥伝社新書)など多数。

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