「1億総マウント時代」で成功するために必要な“新しい処世術”とは…人間関係が円滑になって人生が変わる魔法の法則

SNSや日常に溢れる、無意識の「マウント」。誰もが平等や多様性を口にする一方で、なぜ私たちは優劣を競う格付けゲームから逃れられないのか。『「マウント消費」の経済学』(小学館新書)などの著書もある著作家の勝木健太氏は、世の中に溢れるマウンティングの根源は、正解のない時代を生きる私たちの潜在的な「不安」にあると喝破する。
現代社会の経済を動かしている「マウント消費」の正体から、息苦しいマウント社会を賢く心穏やかに生き抜くための超現実的な処方箋まで、同氏にわかりやすく語ってもらった。全3回の第3回。
目次
マウント地獄を“無傷”で生き抜くための超現実的な処方箋とは
さて、ここまではマウントの持つ二面性やマウンティング・リテラシーの重要性について見てきました。では、具体的に私たちは、日々降りかかってくるマウントの矢や、自分の中で湧き上がるモヤモヤと、どう向き合えばいいのでしょうか。
賢い人ほど、感受性が高い人ほど、生きづらいこのマウンティング時代。心をすり減らさず、穏やかに生き抜くための、実践的な処方箋をいくつかお伝えします。
マウントのモヤモヤは資本主義と人間の本能が生み出した“構造的欠陥”にすぎない
まず、大前提として、マウントされてモヤモヤしたり、逆に自分が誰かにマウントしてしまったりして自己嫌悪に陥ったとき、自分を責めるのはやめましょう。
思い出してください。この感情は、あなた個人の性格が悪いから生まれるのではありません。「正解のない時代」と「序列を求める人間の本能」、そして「マウントを煽る資本主義」が複雑に絡み合って生み出された、社会が仕組んだ「罠」なのです。
「ああ、また無理ゲー資本主義の罠にハマってしまったな」
「これは社会構造のせい。私のせいじゃない」
このように、原因を自分以外の大きなもの(社会、資本主義、人間の本能など)に押し付けてしまいましょう。そうすることで、自分の心を自己否定のナイフから守ることができます。これは、決して責任逃れではありません。自分の心の平穏を保つための、極めて有効な防衛戦略です。
退屈なマウントを“最高のエンターテインメント”にする思考法
次に、マウントに遭遇したときの具体的な心の持ちようです。基本はスルーするのが一番ですが、それが難しい場合は、視点を切り替えてみましょう。
自分が被害者だと思うから辛いのです。そうではなく、自分を「マウンティング研究家」あるいは「文化人類学者」だと考えてみてください。そして、目の前で繰り広げられるマウントを、興味深い研究対象として冷静に観察・分析するのです。
「お、出たな。これは『多忙な私』アピール型の子育てマウントだな」
「なるほど、これは『高価なモノ』ではなく『豊かな体験』を誇示する、ポスト資本主義的マウントの一種か」