「ARMYの皆さんとの約束」ずっとJINが目指してきたこと・・・BTS・JIN日本公演に見た最高の「素敵」。 

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連載「BTS第2章 新たな旅へ。」

目次

この夏、JINが世界を突き抜ける

「バーン!」

 JINの指鉄砲が京セラドームを撃ち抜いた。

 撃ち抜いた、というには優しいか。大阪ならではのギャグをどこで聞いたのか、みなさんノリ良く撃たれたポーズとなった。もちろん、本当に心を熱く撃たれてしまったARMYもいただろう。

 パフォーマンスそのままに、JINはこの国を突き抜けた。そのパッションのままに、この日本を突き抜けた。

『#RUNSEOKJIN_EP.TOUR in JAPAN』京セラドーム大阪公演(以下、大阪)、幕張に続いての公演となったが幕張、そしてこの大阪と観て、つくづく思う。

 JINは、本当に努力の人なんだと。

 BTSの7人すべてが努力の人であることは当然だ。しかし、上下や優劣でなく、私はJINを努力の人だと思う。

 本当の努力には真摯、誠実、相対的でない絶対的な自己がある。誰を負かしたいとか、誰に見せつけたいとか、みんなに認められたいという端緒は誰しもあるが、本当の努力に行き着くとそれらは消え、真摯、誠実、相対的でない絶対的な自己のみが残る。

 現代、ときに努力が冷笑される向きもある。それでも努力は強要されるのでもなければ美徳と思う。努力とその成果は尊重されるべきだし、たとえそれが成功であろうが、失敗であろうが結果でなく美徳である。私たち人はそうでなければ前に進めない。

 もちろん進むか進まないかは個人の意思でしかないが、前に進もうとする人の努力はやはり美徳と呼ぶにふさわしい。そうした努力は美しく、素敵だ。

 韓国、日本の次はアメリカ、イギリス、オランダ…この夏、その美しく、素敵なJINが世界を突き抜ける。

「自分の仕事にプライドを持って」

 JINは総合ファッション誌『VOGUE JAPAN』2024年12月号で「素敵だと思う人」についてこう語っている。

〈自分の仕事にベストを尽くす人です。今まで本当にさまざまな分野の方々に会ってきましたが、みなさん自分の仕事にプライドを持って堂々としている姿を見せてくれました。とてもうらやましくて、そうなりたい、そのありようをとても尊敬しています〉

 ずっとJINが目指してきたこと、そのものなのだと思う。他者に対するリスペクトあってこその努力という美徳。誰と比べるでもなく「素敵」だ。兵役の中でも他の隊員と共に語らい、笑い合い、軍隊という芸能とはまた違う特殊な世界で自身の任を全うした。努力以外の何物でもない。

 同誌のコピーにある〈JINの人生哲学は 努力と挑戦によって裏付けられたもの〉というのはまさにそれを言い当てていると思う。何者でもなかった建国大学校の青年が研修生からBTSとなり、決して幼い頃から芸能の基礎を積んだわけでもない彼がダンスも、トークも、そして歌唱も進化させていった。いまやJINのパフォーマンス、とくに歌唱は世界中を虜にする。コールドプレイのクリス・マーティンが惚れ込むほどに。

人は内面から輝く、それは理想でなく真理

 才能があった、で片づけたくはない。

 やはりJINは努力の人だ。

 努力という美徳にふさわしい生き方をしてきた人だ。

 それでいて、それを決して表には出さない人だ。

 かの「ワールドワイドハンサム」は最高の称賛かもしれないが、そのハンサムにもまた彼の努力の裏づけがある。人は内面から輝くというのは理想でなく真理である。

 JINは男性ファッション誌『GQ』2022年1月号でもこう語っている。

〈自分が深く共感できなかった話は書けないでしょう。たとえば環境問題です。曲にしたくても、「僕がこの話をしてもいいのか」、「僕は心から共感して、実践しているのか」といった悩みが生まれます。深く考えなければならない問題です〉

 曲のメッセージ性について彼は「僕がこの話をしてもいいのか」という自己への問いと「僕は心から共感して、実践しているのか」という自己との対話の悩みを打ち明けている。極めて哲学的だが、こうした努力もまた曲、そして歌唱に昇華している。

 そうしていま、私たちはこの国でJINの曲を聞いている。幕張、大阪と最高のパフォーマンスを披露してくれた。努力の結実、JINは転役後に『Weverse Magazine』2024年7月10日配信でその理由をこう述べた。

ARMYという「家」は幸せでなければならない

〈好きな人には最善を尽くすのが当たり前じゃないですか〉

 好きな人とはARMYのことだ。イコール「家族」ということにもなる。JINはARMYについて「家」と表現しているが、家にいるのは家族だ。互いを愛し合い、慈しみ、かけがえのない存在である家族のことだ。

 血が繋がっていようといまいと家は家である。むしろ血が繋がっていても慈愛も存在の尊重もなければそれは「家」ではあるまい。そういうことではないのだ。家とは、家族とはそれこそ美徳でなければならない。個々人の家庭はそうであったり、なかったりするかもしれないが、少なくとも、ARMYという「家」は幸せでなければならない。

〈僕を応援してくれて、幸せにしてくれる人たちがまさにARMYなんです。僕にとって本当に大切な存在なので、ARMYの皆さんとの約束を最優先に考えなければならないのは当たり前のことです〉※4

 というJINの言葉そのままに。

 それにしても、JINの心はどこまでも真摯で真っ直ぐだ。そして素晴らしい自己肯定感にあふれている。彼の常日頃言う「僕は僕が大好き」は本当に素敵な言葉だと思う。自分が自分を愛さなければ誰が愛してくれるというのか、究極の愛とは自己愛であり、それは本来とても素敵なことなのだ。それをJINは教えてくれる。

「みんなの幸せのために」

 幕張も大阪も、そこには行けなくとも視聴していたARMYもすべてがそのJINの「素敵」を受け取れたように思う。この日本で最高の「素敵」を。

 この2都市4公演で約13万人を動員した日本公演。世界ツアーはまだまだ続くが、JINは日本公演をこの言葉で締めくくった。

「みんなの幸せのために」

 JINの努力は好きな人のため、みんなの幸せのため、嬉しいじゃないか、家族に愛されるということはとても素敵なことなんだから。

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この記事の著者
日野百草

1972年生まれ。日本ペンクラブ広報委員会委員。出版社勤務を経て国内外における社会問題、政治倫理を中心に執筆。大学院で芸術学を専攻、修士(芸術)、芸術修士(MFA)。文芸論、人物評伝および比較史におけるポップカルチャー、またフィギュアスケートなど舞踏芸術に関する論考も手掛ける。2018年、評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。著書『評伝 赤城さかえ 楸邨・波郷・兜太に愛された魂の俳人』他。

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