timeleszがオーディション番組出身アイドル共通の“壁”を乗り越えられる理由…「早すぎる」と批判もあったドーム公演発表も必然だった

今年最も注目を集めているアイドルと言えば、timelesz(タイムレス)だろう。動画サブスクサービス「Netflix」に配信された新メンバー選抜オーディション『timelesz project』(通称タイプロ)は、もはや社会現象になっていると言っても過言ではない。
そんな今を時めくtimeleszは、現在アリーナツアー『We’re timelesz LIVE TOUR 2025 episode 1 〜FAM』の真っ最中だ。その中でドーム公演開催のサプライズ発表もあったが、一部から「早すぎるのではないか」と批判の声も上がっているという。
アイドルカルチャーにも詳しいドラマウォッチャーの明日菜子氏は「それでも、このタイミングでtimeleszドーム公演の開催を発表するのは必然だったのかもしれません」というーー。
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大ヒットしたタイプロも、最初はみんな不安だらけのスタートだった
「大丈夫です、全部うまくいきます」
最初で最後となったtimelesz3人体制でのコンサートツアー『We’re timelesz LIVE TOUR 2024 episode0』で、菊池風磨がいったその一言が、ずっと頭に残っている。
アイドルのコンサートは、いつだって、日常のしんどさを吹き飛ばしてくれる夢のような空間だ。けれど、その夏はすこし違った。新体制となったtimeleszがメンバーを公募オーディションで選ぶ『timelesz project』の始動を控えていたからである。Sexy Zone時代から彼らを眺めていた私は、心中穏やかではなかった。きっと、現場に足を運んだ多くのファンもそうだったと思う。
メンバー本人たちが「そうならないようにしたいが、もしかしたら合格者ゼロもあるかもしれない」と溢していたことから、当事者である彼ら自身も不安だったはずだ。そんな中、菊池が最後の挨拶でいった「大丈夫です、全部うまくいきます」は、前代未聞のプロジェクトへの不安を一掃する……とまではならなかったが、もしかしたら、本当に上手くいくこともあるのかもしれない、と思ったのだ。
偶然にも、その言葉を聞いた翌朝、タイプロのNetflix全世界配信が決まったというニュースが日本中を駆け巡った。事務所問題で各テレビ局が彼らの起用に慎重になっている中、動画配信最大手のNetflixが自ら手を挙げたのだ。肝心のオーディション映像がどこで放送(配信)されるかすら決まっていなかった4月のインスタライブを思い返せば、まさに青天の霹靂。これは本当にすごいことになるんじゃないか……と、すこし身体が震えた。
もはや社会現象となったタイプロ。数字を見ても成功は明らか
あれから約一年後、新生timelesz初となるアリーナツアー『We’re timelesz LIVE TOUR 2025 episode 1 〜FAM』で、私は同じ言葉を聞いていた。去年の不安がまるで嘘みたいに、タイプロはいまや社会現象になっている。オーディション中は、アイドルに全く興味を示さなかった知人からも挨拶代わりに「タイプロ観てる?」と話題を振られるのが常で、もはやtimeleszの話を誰から聞いても驚かなくなった。オリジナルメンバー3人(佐藤勝利・松島聡・菊池風磨)はもちろん、オーディションで加わった寺西拓人、原嘉孝、橋本将生、猪俣周杜、篠塚大輝の5人も、バラエティー番組や音楽番組に連日引っ張りだこ。各局で冠番組や特集が続々と組まれている。
この勢いを象徴するかのように、『We’re timelesz LIVE TOUR 2025 episode 1 〜FAM』の横浜アリーナ公演初日は、大型発表の連続だった。初シングル『Steal The Show/レシピ』発売、タイプロ続編ドキュメンタリーの配信、タイプロのBlu-ray&DVD発売、本コンサートツアー千穐楽の配信ーーなかでもファンとメンバーを驚かせたのは、 年末年始に開催される2大ドーム公演(12月26日・27日に京セラドーム大阪、2026年1月7日・8日に東京ドーム)のサプライズ発表である。
たしかに、彼らを取り巻く数字を見ても、その成功は明らかだ。タイプロ後初のアルバム『FAM』は、初週で売り上げ61.9万枚を記録。ファンクラブの会員数も右肩上がりで、タイプロ最終回の放送日には、新規会員が約10万人近く増えたといわれている。コンサートの倍率を心配した既存ファンが新たに名義を増やしたケースもあるだろうが、タイプロ放送直後のFC限定配信みたさに背中を押された新規会員が相当数いるのは間違いない。
「早すぎる」と批判があるものの、それでも、このタイミングでのドーム公演が必然である理由
だが、新生timelesz結成から約半年、デビューアルバム発売からわずか1ヶ月半、しかもタイプロと同じ年にドーム公演というのは、かなりのハイスピードだ。もちろん先輩グループの中には、KAT-TUNのようにデビュー前にドーム公演を果たす驚異的な例もあるが、彼らはその人気に反して、約5年もの下積みを重ねたグループである。なにより、Sexy Zone時代の佐藤・松嶋・菊池が、デビュー11年目でようやくドームに立ったことを考えれば、異例のスピードだ。
私もそのニュースが流れてきた時は正直勇み足すぎやしないかと思ったのだが、FCに新規入会した友人たちが軒並み「チケット当たりませんでした……」と肩を落としていたことを思い出すと、このタイミングでのドーム公演は必然なのかもしれない。新生timeleszの課題はなによりも“熱狂の持続”だからだ。