中学受験は結局「地頭ゲーム」なのか…元SAPIXのカリスマ講師が本音を吐露 “地頭作り”のタイムリミットから逆算する中学受験戦略とは

近年、首都圏を中心に過熱する一方の中学受験。我が子にとって最良の選択をしたいと願う親にとって、悩みは尽きない。併願戦略はどのような組み合わせが最適なのか。どの塾を選択すべきなのか。成績が伸び悩んだときはどう対応すべきなのか。そもそも中学受験は「地頭ゲーム」に過ぎないのか。
そんな数々の疑問を解決するべく、SAPIXなどの大手中学受験塾で教鞭をとり、灘特進クラスの算数講師なども歴任したオレンジ先生氏に、学歴活動家のじゅそうけん氏が話を聞いた。受験の現場を知り尽くした2人が、中学受験戦略のすべてを本音で語り尽くす。短期連載全4回の第1回。(取材日:8月22日)
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大手塾のエース教員からYouTuberへ 元SAPIXのカリスマ算数講師
――本日はよろしくお願いします。オレンジ先生とは直接お会いするのは初めてですね。まず、先生のご経歴についてお伺いしたいです。
よろしくお願いします。じゅそうけんさんは有名なので、僕のほうが一方的に存じ上げており、あまり初めましてという感じがしないのですが(笑)。経歴としては、大学時代にSAPIXで算数の講師としてアルバイトを始めたのが今の道に進んだきっかけです。卒業後もSAPIXで講師を続け、その後、関西の馬渕教室で灘特進クラスの算数講師を務めました。また関東に戻ってきてからは、算数の単科塾で教えたり、個別指導で教えたりしていました。
現在はどこかの塾に所属するのではなく、フリーランスで個別指導などを行っています。SNSでの発信活動を始めたのは2020年のコロナ禍がきっかけで、YouTubeブームに乗るような形で、自分にできることは何かと考えたときに、勉強や受験に関する情報発信が需要に合うのではないかと思い、始めました。最近はVoicyというアプリでラジオもやっています。
中学受験は結局「地頭ゲーム」なのか プロ講師の答え
――それでは早速、本題に入らせていただきます。最初のテーマは「才能・地頭 vs 努力」です。巷では「中学受験は結局、地頭ゲームなんじゃないか」とよく言われています。実際に現場で指導されていて、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。
僕としては、人間には元々持っている脳みそ、つまり「地頭」と、そこからどれだけ努力するかという「努力」、この2つの要素があると考えています。これをマトリクスで考えると、「地頭が良い・悪い」と「努力をする・しない」で4つのタイプに分けられますよね。
当然ながら、もっとも強いのは「地頭が良くて、努力もする」タイプです。中学受験の最難関校、たとえば開成や灘といったトップオブトップの学校は、やはりこの層が集まる場所です。才能があって、その上で努力を重ねた子にはなかなか勝てません。そういった意味で、最難関校に関しては、才能や地頭があることが一つの前提になってくる部分は確かにあると思います。