「とりあえずSAPIX」が一番危ないと断言できるワケとは…元SAPIXカリスマ講師が安易な塾選びに警鐘 中学受験で失敗する理由はたった1つしかない

近年、首都圏を中心に過熱する一方の中学受験。我が子にとって最良の選択をしたいと願う親にとって、悩みは尽きない。併願戦略はどのような組み合わせが最適なのか。どの塾を選択すべきなのか。成績が伸び悩んだときはどう対応すべきなのか。そもそも中学受験は「地頭ゲーム」に過ぎないのか。
そんな数々の疑問を解決するべく、SAPIXなどの大手中学受験塾で教鞭をとり、灘特進クラスの算数講師なども歴任したオレンジ先生氏に、学歴活動家のじゅそうけん氏が話を聞いた。受験の現場を知り尽くした2人が、中学受験戦略のすべてを本音で語り尽くす。短期連載全4回の第3回。(取材日:8月22日)
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中学受験で失敗する理由はたった1つしかない
――親御さんのスタンスという点で、もう少しお聞きしたいです。中学受験で「残念な結果」に終わってしまうご家庭には、どのような特徴があるのでしょうか。
これは非常にシンプルで、ほとんどが「受験校選びのミス」です。つまり、戦略の失敗です。
たとえば、持ち偏差値が50のお子さんが、1月の前受け受験から2月の本番まで、偏差値60以上の学校しか受けない。これでは、合格可能性は極めて低く、「全落ち」という最悪の結果を招きかねません。
親の戦略ミスで「全落ち」に…最悪の事態を避けるには
――そこは完全に大人の責任の範囲ですね。
はい。いつ、どのレベルの学校を受けるのか。どこで確実に合格を確保して、子どもの精神的な安定を図るのか。そういった采配が結果を大きく左右します。この戦略を立てるのは、100%親の責任です。
「中学受験をするからには、難関校に行かなければ意味がない」というお気持ちは分かります。しかし、親は「ダメなら公立中学に行けばいい」と割り切れても、子どもにとっては、これまでの努力のすべてが「×」で否定されたような感覚に陥ってしまいます。これは、子どもの自己肯定感に深刻なダメージを与えかねません。
僕が考える「残念な結果」とは、偏差値が30や40で終わることではありません。たとえ結果的にその偏差値帯だったとしても、本人がコツコツと真面目に勉強を続けた3年間は、脳に良い刺激を与え、間違いなく地頭を鍛えています。その子の人生にとって、絶対に意味のある時間です。
本当の「残念な結果」とは、その子の立ち位置を無視した受験校選びによって、一つも合格を勝ち取れずに終わらせてしまうことなのです。