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ソニー、楽天、Google…なぜ「学歴不問」企業にも関わらず高学歴学生ばかりが採用されるのか 大手人材企業勤務男性「Fラン大卒は…」

 就職と学歴は切っても切れない関係であるのは周知のとおりだ。とはいえ、最近増えてきているのが、就職において「学歴不問」とする企業群だ。ソニー、楽天、Googleのような超一流企業も「学歴不問」で人材を募っている。

 ところが、「学歴不問であるにもかかわらず、そうした企業にはやはり高学歴社員が多いです」と指摘するのは学歴活動家のじゅそうけん氏だ。いったい、なぜなのかーー。

 みんかぶプレミアム連載「コスパと予後から考える学歴論」

目次

一流企業における「学歴不問」は本当なのか

 近年、多様性が重視される中で日本の採用市場では「学歴不問」を掲げる企業が増加している。

 これは、従来の学歴偏重主義から脱却し、個人の能力やポテンシャルを重視する方向へとシフトしていることを示すものだ。

 特にIT業界やベンチャー企業では、実務能力や柔軟な思考力が求められるため、学歴よりもスキルや経験が重視される傾向が強い。

 また、少子化による人材不足や、ダイバーシティ推進の流れも「学歴不問」採用の後押しとなっている。企業は多様なバックグラウンドを持つ人材を受け入れることで、イノベーションを促進しようとしているのだ。

 しかし、こうした「学歴不問」の理念が、実際の採用結果と一致しているかというと、必ずしもそうではないようだ。

 今回は、学歴不問を標榜する中で採用状況の実態と、そのような状況になっている理由を考察していきたいと思う。

日本の新卒採用における「自由応募」と先駆けとなったのは、あの超一流日本企業

 そもそも2025年現在の日本の就職活動では、4年生大学を卒業見込みなど、最低限のハードルを超えていればエントリーを拒否されることは、少なくとも表向きは起こり得ない。

 しかし、1970年代頃までの日本の就活市場では、企業側は大学に推薦を依頼し、推薦を受けた学生しか選考に参加できないという「指定校制度」が存在した。

 この頃にいわゆる大手企業に入社し、プロパーで経営層まで駆け上がった方々が、ほぼ全員一定の難易度のある一流大学出身であるのはこの制度も要因の1つだ。

 その後、指定校制度は大学紛争や、高度経済成長前後の急成長の中で労働力を欲する企業の思惑もあり、事実上崩壊することになる。

 1980年代頃には自由応募となったが、それでも一流大学中心の学歴採用は続いた。

 そんな中で、衝撃を与えたのが「ソニー」だ。

 1991年当時もすでに超一流企業として認知されていたソニーが「学歴不問採用」を打ち出したことは、当時の就職市場に大きな衝撃を与えた。

 これは「偏差値学生はもういらん」という理念のもと、多様な人材を受け入れる姿勢を示したものだった。

 当時世論でも「指定校制度」は批判されていたこともあり、ソニーの姿勢は大きく支持される結果となり、その他企業も「学歴で採用している」と明言する企業はなくなったのだ。

 現在では上述したようにその潮流は強まり、学歴不問を標榜する企業は増えている。

ソニーグループ株式会社

楽天グループ株式会社

• Google Japan(グーグル合同会社)

 いずれも皆が名前を聞いたことがある、一流企業と位置づけられるだろう。

 一部ではあるがこれらの企業は、公式採用ページや求人媒体において「学歴不問」「人物重視」「スキル重視」などの文言を明記しており、応募条件に大学名や偏差値を記載していない。

「学歴不問」と乖離する就職実績…ソニー、楽天

 しかし、実際に採用された新卒社員の出身大学を調べてみると、興味深い傾向が浮かび上がる。

 下記は大きなインパクトを与えたソニーグループの2024年度の大学別就職人数だ。

出典:「大学通信」https://univ-online.com/rank3/y2024/electronics/r1930159/

 上記表を見れば一目瞭然だが、旧帝大、早慶レベル以上が多く並び、13位の明治大学(11名)まで、MARCHクラスさえもランクインしないという状況だ。

 ソニーグループは技術的側面で理系人材を多数採用するため、国立大学や東京理科大のような理系単科大学が上位に来るのは納得ではあるが、やはり上位大学中心となっていることは間違いない。

 続いて楽天グループはどうだろうか。

出典:「大学通信」https://univ-online.com/rank3/y2024/service/r1930419/

 こちらも早慶上智・旧帝が上位を独占している。ソニー同様、結局上位大学出身者中心に採用していることがお分かりいただけるだろう。

表向きは「学歴不問」でも、実際には一流大学出身者が多く採用される理由

 「学歴不問」を掲げる中で一体なぜこのような状況になっているのだろうか。

 実際には学歴フィルターがあるのではないか? そんな邪推も働くかもしれないが、恐らくそれはないだろう。

 筆者も新卒就活を経験したが、インターンや一次の集団面接の段階では、MARCHクラス未満の大学に所属する学生を多く目にした。

 また、学歴フィルターが何らかの形で機能していたとしても、そこはブラックボックスだ。ここでいくら考えても結論は出ない。

 前提として大学名で絞っていないとした場合に、このような結果になっていることは主に下記3つの理由が考えられるだろう。

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この記事の著者
じゅそうけん

ネット上で暗躍する学歴活動家。 「受験情報×エンターテインメント」をモットーにX(旧Twitter)やYouTube上で受験ネタを面白おかしく取り上げる。 2021年に大手金融機関を退職し、人生をかけて学歴と向き合うことを決意。国内のみならず海外の受験事情も勉強中。 じゅそうけん合同会社代表。XをはじめとするSNSコンサルティングサービスを展開。 著者に『中学受験 子どもの人生を本気で考えた受験校選び戦略』(KADOKAWA)、『中学受験はやめなさい 高校受験のすすめ』(実業之日本社)がある。 本名は伊藤滉一郎。

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