中学受験が子どもの「生涯所得」を大きく左右するワケを東大医学部在学中の現役AIエンジニアが解説 なぜ中高一貫校から“士業”で成功する人材が続出するのか

生成AIの爆発的な進化は、「良い学校に入り、良い会社に就職すれば安泰」という親世代が信じてきた価値観を根底から覆した。かつての花形職業がAIに代替され、求められるスキルの定義が激変する未来が、すぐそこまで迫っている。
外資系企業でAIエンジニアとして勤務しながら、東大医学部にも在籍しているSaki氏は、このような時代にこそ中学受験はその真価を発揮すると語る。同氏に、「将来のキャリアからの逆算」という視点で中学受験を再定義し、未来を生き抜くための生存戦略を探っていただいた。全3回の第1回。みんかぶプレミアム特集「キャリアから考える中学受験」第1回。
目次
AI時代到来で「良い学校=安泰な人生」はもはや幻想に
「良い学校に入り、良い会社に就職すれば、人生は安泰だ」
私たち親世代が、まるで疑う余地のない真実として受け入れてきたこの価値観は、今、音を立てて崩れ去ろうとしています。生成AIの爆発的な進化は、社会の構造、働き方、そして「価値あるスキル」の定義そのものを根底から覆し始めました。
2030年、あるいは2040年。今、中学受験を考えているお子さんたちが社会の主役となる頃、世界はどのように変わっているでしょうか。かつての花形職業がAIに代替され、これまで評価されてこなかった能力が脚光を浴びる。そんな予測が、もはやSFではなく現実のものとして語られています。
中学受験を「子どものキャリアへの先行投資」に変える方法
このような激動の時代において、私たちは子どもたちの教育、特にその入り口である「中学受験」をどのように捉え直すべきなのでしょうか。
「とにかく偏差値の高い学校へ」
「御三家に入れれば将来は安泰」
こうした旧来の考え方だけで中学受験に臨むことは、変化の激しい大海原に、古い海図だけを頼りに羅針盤も持たずに漕ぎ出すようなものです。それはあまりにも無謀であり、危険ですらあります。
この連載記事では、「キャリアからの逆算」という視点で中学受験を再定義し、これからの時代を生き抜くために本当に必要な力とは何か、そしてその力を育むために中学受験をどう活用すべきかについて、深く掘り下げていきたいと思います。これは、単なる受験テクニックの話ではありません。未来を生きる我が子のための、本質的な生存戦略です。
中学受験がわが子の「生涯所得」を大きく左右するワケ
本題に入る前に、まず根源的な問いにお答えしなければなりません。
「そもそも、すべての子どもが中学受験をすべきなのか?」
私の答えは、「条件付きで、ほとんどのお子さんはしたほうがいい」です。
これは決して、全員が難関校を目指すべきだという意味ではありません。中学受験というプロセスそのものが、将来のキャリア形成において大きなメリットをもたらすからです。その最大の理由は、将来の選択肢の幅を広げ、生涯所得の向上に大きく貢献するという厳然たる事実にあります。質の高い教育環境、そこで得られる学力や思考力、そして何よりも価値ある人的ネットワークは、その後の人生において強力な武器となります。
中学受験を“絶対にさせてはいけない”子の危険なサイン
しかし、私は「無条件に全員がすべきだ」と主張するつもりはありません。中学受験を「しないほうがいい」ケースも明確に存在します。