わが子を“AI失業”から守る「究極の職業」を東大医学部AIエンジニアが告白 数年前のエリート職を待つ大量解雇の未来に絶望

生成AIの爆発的な進化は、「良い学校に入り、良い会社に就職すれば安泰」という親世代が信じてきた価値観を根底から覆した。かつての花形職業がAIに代替され、求められるスキルの定義が激変する未来が、すぐそこまで迫っている。
外資系企業でAIエンジニアとして勤務しながら、東大医学部にも在籍しているSaki氏は、このような時代にこそ中学受験はその真価を発揮すると語る。同氏に、「将来のキャリアからの逆算」という視点で中学受験を再定義し、未来を生き抜くための生存戦略を探っていただいた。全3回の第2回。みんかぶプレミアム特集「キャリアから考える中学受験」第2回。
目次
子どものキャリアを決定する“環境”の正体「偏差値よりも価値ある」
「士業」のキャリアパスにおいて中学受験が強力なアドバンテージになる3つ目の理由は、キャリアを形作る「環境」の力です。「人は環境の生き物である」とはよく言ったもの。どのような環境に身を置くかで、人の価値観や目標は大きく変わります。
レベルの高い中高一貫校には、当然ながら、優秀で向学心の高い生徒が集まります。そこでは、「医学部を目指すのが当たり前」「司法試験の勉強を始めるのは普通のこと」という空気が流れています。友人たちが当たり前のように高い目標を掲げて努力している姿を日常的に目にすることで、自然と自分自身の基準も引き上げられていきます。
また、卒業後も続く強固な人的ネットワークは、お金では買えない貴重な資産です。将来、医師や弁護士として働く上で、同窓生が各界で活躍しているという事実は、情報交換や協力体制の構築において、非常に有利に働くでしょう。
このように、幼い頃からハイレベルな環境に身を置くことは、本人の意識を改革し、キャリア形成を強力に後押しするのです。
中学受験が“効く”職業と“効かない”職業とは
一方で、研究者や一般的なサラリーマンといったキャリアパスにおいては、中学受験の直接的な影響は士業ほど大きくはありません。特に研究者としての成功は、ペーパーテストの能力とは異質の、探求心や独創性といった資質に大きく依存します。大学以降にどのような研究室に所属し、どのような師や仲間と出会うかのほうが、はるかに重要です。
とはいえ、中学受験で得られる基礎学力や論理的思考力、そして良質な人的ネットワークは、どのような道に進むにしても決して無駄にはなりません。その意味で、中学受験は多くのキャリアにおいて「やっておいて損はない」投資であると言えるでしょう。
数年前の“エリート職”が、AIによって真っ先に不要になる悪夢
さて、ここからが核心部分です。生成AIの登場によって、私たちは子どもたちのキャリアプランを根本から見直す必要に迫られています。親世代が抱く「花形職業」のイメージは、もはや危険な幻想になりつつあります。
つい数年前まで、外資IT企業のエンジニアは、高給で自由な働き方を実現できる、まさに「勝ち組」の象徴でした。多くの教育熱心な親御さんが、「我が子をエンジニアに」とプログラミングスクールに通わせたのも記憶に新しいでしょう。GoogleやAmazonといった巨大企業が20年近くにわたって覇権を握り続けた結果、そのイメージは社会に深く浸透しました。
しかし、その黄金時代は終わりを告げようとしています。
生成AIは、驚くべき速度で人間のコーディング能力を凌駕しつつあります。基本的なソフトウェア開発やデバッグといった作業は、もはやAIに任せたほうが速く、正確です。その結果、何が起きているのか。外資IT企業は次々と人員削減に踏み切り、特に若手やジュニア層のポジションが真っ先に不要とされ、求人数は目に見えて減少しています。