誰も語らなかった“中学受験の真実”とは 終わりなき「教育費沼」の恐るべき実態

わが子の教育にかけた費用は、本当に「元」が取れるのか――。これまで教育の世界では「品がない」とタブー視されてきた「コスパ」という視点から、今注目の2人が対談。学歴活動家として独自のポジションを築くじゅそうけん氏と、保護者目線で業界の闇に切り込む教育投資ジャーナリストの戦記氏が、中学受験のリアルを徹底的に語り合った。
中学受験にかかる衝撃的な費用の実態から、中学受験からの「賢い撤退」戦略まで、綺麗事なしの本音トークは中学受験を検討するすべての保護者にとって必見だ。短期連載全10回の第2回。(対談日:10月3日)
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目次
幼少期から…終わりなき「教育費沼」の恐るべき実態
戦記: 合格までにかかった正確な金額を本当は計算したはずなんですが、忘れたいんでしょうね、きっと(笑)。SAPIXの授業料に加えて、公文式やその他の教材費などを考えると、当然それくらいの結果になります。僕はマメな性格なので、かかった費用をすべてExcelで記録していたんですよ。それである日、集計してみたら「600万」という数字が出てきて、「まじかよ…。車が買えるじゃないか」と愕然としました。
じゅそうけん: でも、難関中学に合格されるご家庭では、それくらいの投資をされている方は普通にいますよね。
戦記: ええ、周りを見てみても、同じような感じだと思います。もっと言うと、幼少期から英語教育はもちろん、バレエ、水泳、ピアノなどの音楽系…とにかく皆さんお金を使っています。金持ちだから、というのもありますが(笑)。
都市部で加速する“教育費高騰”に備えよ
じゅそうけん: 中学受験塾の費用だけでも、最低300万円はかかると言われていますからね。しかもこれはあくまで塾代、つまり「入口」までの費用です。合格後には、私立中学・高校の6年間の学費や交通費などが延々とかかり続ける。そう考えると、やはり「コスパ」という視点は絶対に必要ですよね。
戦記: なんだかんだで、年間100万円くらいは簡単にかけられてしまうんですよね、教育費って。不思議なもので、年間200万円となると、塾代だけではパンクするので無理なんですが、100万円くらいまでは「払えてしまう」。特に最近は、共働き世帯の増加と、少子化によって、その傾向が顕著です。お子さんが3人ではなく2人、2人ではなく1人となると、一人当たりにかけられる教育費が集中する。結果として、どんどん教育費がインフレしていくという構造があります。
じゅそうけん: 世帯年収自体も、特に都市部では上がっていますからね。そうした背景もあって、この「コスパ」というテーマが刺さったのかもしれません。様々なメディアにも取り上げていただけるようになりました。
なぜ塾の先生は“お金の話”ができないのか
――そうですね。PIVOTさんに出演された動画も非常に話題になりました。
じゅそうけん: はい。PIVOTさんで、弁護士の山口真由さんと「コスパで語る中学受験」というテーマで対談させていただき、これもまた、そこそこ物議を醸しました(笑)。
戦記: これまで、このテーマを語る人がいなかったのが良かったんでしょうね。
じゅそうけん: 語る人がいなかった、というより「語れなかった」のだと思います。既存の塾業界の方々や、伝統的な教育観を持つ方々は、立場上、お金の話はしにくいでしょうから。
――じゅそうけんさんの場合、特定の塾などに所属しているわけではない、というポジションも大きいですよね。
じゅそうけん: そうですね。僕は中学受験の指導を専門にしているわけでも、高校受験の専門家というわけでもありません。だからこそ、すべての受験ルートを客観的に、フラットに比較検討できる。そのポジションが珍しかったのかもしれません。あと、僕自身がまだ子育てをしていない、ただの「おじさん」であるというのも大きい。
ポジショントークは一切なし 誰も語らなかった“受験の真実”
戦記: お子さんはいらっしゃらないんですね。