進学校「下位75%」の予後を決めるたった1つの要素とは…賢い親はもう始めている“合格後のサバイバル戦略”

わが子の教育にかけた費用は、本当に「元」が取れるのか――。これまで教育の世界では「品がない」とタブー視されてきた「コスパ」という視点から、今注目の2人が対談。学歴活動家として独自のポジションを築くじゅそうけん氏と、保護者目線で業界の闇に切り込む教育投資ジャーナリストの戦記氏が、中学受験のリアルを徹底的に語り合った。
中学受験にかかる衝撃的な費用の実態から、中学受験からの「賢い撤退」戦略まで、綺麗事なしの本音トークは中学受験を検討するすべての保護者にとって必見だ。短期連載全10回の第3回。(対談日:10月3日)
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目次
中学受験の「シビアすぎる現実」から目を背けるな
――「SAPIX偏差値55はそこそこ」という部分だけを切り取らず、全体の文脈を理解していれば、発言の意図は伝わったはずだと。
じゅそうけん: そうなんです。その文脈を理解してくださる方からは「確かにそうだよね」と納得していただけたのですが、そこだけが切り取られて拡散されてしまった。「SAPIX偏差値55を“そこそこ”とは何事だ!」と。まさしく、その偏差値帯のお子さんを持つ親御さんから、ものすごい勢いで叩かれましたね。もちろん、お気持ちは痛いほど分かるのですが…。
戦記: いや、でも、東大や医学部受験という物差しで測れば、それは紛れもなく「そこそこ」じゃないですか。
じゅそうけん: 実際、そうなんですよ。その偏差値帯の学校から東大や医学部に現役で合格する生徒は、残念ながらそれほど多くはありません。
戦記: であれば、それは客観的な事実として「そこそこ」ですよね。
受験界隈が最も“燃えやすい”禁断のシーズン
じゅそうけん: しかも、僕が書いたのは、むしろポジティブなニュアンスだったんです。「この学校は、偏差値的には“そこそこ”だけれど、その割に東大合格者が出ていて素晴らしい」という、褒める文脈で使った言葉でした。
戦記: めちゃくちゃポジティブな評価じゃないですか。それがなぜ…。
じゅそうけん: そこだけが切り取られてしまったんですね。「そこそこ」という単語のインパクトが強すぎた。あとは、時期も最悪でした。あれ、11月だったんですよ。
戦記: ああ…それはダメですね。まさに志望校選択で、保護者が一番ピリピリしている時期。
じゅそうけん: 9月から11月にかけての受験界隈は、本当に可燃性が高い。ちょっとした火種ですぐに大炎上します。
戦記: 秋から冬にかけて、マーケット全体がヒートアップしていく時期ですからね。
じゅそうけん: なので、今年はもう大人しくしようと固く誓っています(笑)。メディアに出させていただく機会も増えましたし、もう軽々しく「そこそこ」なんて言えません。最近は安定運用を心がけています。
賢い親はもう始めている「合格後のサバイバル戦略」
戦記: だんだん社会的地位が上がってくると、言いたいことも言えなくなってきますよね(笑)。でも、そういった「本当のこと」を誰かが言わないと、多くの人は気づかないままなんじゃないかとも思います。
じゅそうけん: やはり感情論の部分も大きかったなと反省しています。SAPIX偏差値50~55あたりで、日々親子で必死に頑張っていらっしゃるご家庭がボリュームゾーンとして一番多い。そういう方々からすれば、僕のような部外者からの発言は、到底許せるものではなかったのでしょう。
戦記: でも、親御さんがSNSで怒ったところで、お子さんの偏差値が上がるわけではないと思うんですけどね。僕が投資家だからかもしれませんが、その発言に腹を立てるよりも、「じゃあ、その“そこそこ”の学校に入ったとして、我が子はどう戦うべきか?」と考えるほうがよほど建設的です。その学校の環境で、どうすれば上位に行けるのか。過去5年、10年の卒業生は、なぜ東大や医学部を受けてこなかったのか、あるいは受けても合格できなかったのか。それを分析して、学校とは別の戦略を取る、というほうがずっと前向きですよね。