高校受験で“実力以上”の結果を出せる子どもの共通点を識者が告白「SAPIX偏差値45あれば高校受験は無双できる」断言のワケ

わが子の教育にかけた費用は、本当に「元」が取れるのか――。これまで教育の世界では「品がない」とタブー視されてきた「コスパ」という視点から、今注目の2人が対談。学歴活動家として独自のポジションを築くじゅそうけん氏と、保護者目線で業界の闇に切り込む教育投資ジャーナリストの戦記氏が、中学受験のリアルを徹底的に語り合った。
中学受験にかかる衝撃的な費用の実態から、中学受験からの「賢い撤退」戦略まで、綺麗事なしの本音トークは中学受験を検討するすべての保護者にとって必見だ。短期連載全10回の第7回。(対談日:10月3日)
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目次
「コミュ力に自信がない子」こそ中学受験に向いている
――今や大学生の就職活動でも「予後」という言葉は普通に使われていると聞きます。さて、その「予後」という視点から、長年のテーマである「中学受験と高校受験、どちらがいいのか」という問題についてお伺いします。これはいつも議論になるテーマですが、お二方はどうお考えですか?
じゅそうけん: 結論から言えば、「子どもの性質による」としか言いようがありません。中学受験で輝ける子もいれば、高校受験のほうがポテンシャルを発揮できる子もいる。これが大前提です。
その上で、中学受験に向いているのは、いわゆる「早熟タイプ」の子ですね。認知能力が非常に高いけれど、一方で社会性やコミュニケーション能力にはあまり自信がない、というようなタイプ。こういう子は、ペーパーテスト一発勝負の中学受験のほうが、間違いなく結果を残せます。
高校受験で“実力以上”の結果を出せる子どもの共通点とは
――逆に、高校受験向きなのは?
じゅそうけん: 国語・算数・理科・社会の偏差値はそこまで突出していないけれど、学校生活を器用にこなし、先生や友人とうまくやれる「バランスタイプ」の子ですね。こういう子は、内申点が大きく影響する高校受験で有利になります。内申点制度に助けられる形で、実力以上の結果を出しやすいと言えるでしょう。
戦記: 面白いのは、中学受験は「やってみないと分からない」という点です。だから、とりあえず始めてみて、もし子どもに合わない、あるいは成績が伸び悩むようであれば、途中でやめて高校受験に切り替えればいい。これが最も合理的な戦略です。
賢い親だけが知っている、中学受験の正しい「引き際」
じゅそうけん: まずは一度、市場に参入してみる、というのは良い選択肢ですよね。
戦記: しかし、多くのご家庭は、そこで「損切り」の判断ができない。ズルズルと時間とお金を浪費してしまう。最初から中学受験をしなければ、選択肢は高校受験しかありません。でも、一度中学受験に挑戦すれば、「続ける」か「撤退して高校受験に切り替える」か、2つの選択肢が生まれるわけです。
じゅそうけん: 問題は、その「引き際」が非常に難しいということです。先日、SAPIXの代表の方と対談する機会があったのですが、彼が言うには、小学4年生から入塾した生徒が6年生まで在籍した場合、途中で退塾するのはわずか5%だそうです。95%は、どんなに成績が振るわなくても、最後まで走り抜けてしまう。
戦記: それは、これまで投下した時間とお金、つまり「サンクコスト」と、親の「プライド」の問題でしょうね。
じゅそうけん: 「中学受験から撤退して、地元の公立中学校に行く」という選択をすると、周りから「あそこのお宅、中学受験に失敗したのね」と思われてしまう。その見栄が、合理的な判断を曇らせるんです。
SAPIX偏差値45あれば高校受験は“無双”できる
――ここで重要なのが、市場のレベル感の違いですね。