「受験における全滅は親の責任」中学受験のプロが警鐘!「子供よりも親のメンタル」が大事なワケ

秋も深まり、受験本番がすぐそこに迫ってきた。気づけば、入試まで100日を切っている。入試までの残り3か月は、ただ目の前のことに取り組むだけでは合格に手は届かない。
限られた時間の中で、何を優先し、何を切り捨てるか。その選択が、わが子の合否を左右する。
「R80偏差値で5程度の差なら、十分に逆転は可能です。直前期こそ、正しい努力を冷静に積み重ねることが重要です」
そう語るのは、個別指導塾Growy代表のユウシン氏である。どうすれば、残り少ない期間で学力を積み上げられるのか。第一志望合格に向けて、今から親ができることは何か。
受験本番で力を出し切るための戦略を紹介する。連載全3回の最終回。
目次
最後まで「これまで通り」を貫け
受験本番が近づくにつれ、家庭の空気も少しずつ張りつめてきます。模試の結果や周囲の進捗に心を揺らしながら、子どもたちはいよいよラストスパートに入ります。
また、本番が近づくに連れ気を配りたいのは、親御さんのコンディションです。焦りや不安が重なり、知らず知らずのうちに家庭の空気がピリついていませんか。実は、受験直前のこの“家庭の空気”が、子どものパフォーマンスに大きく影響します。
だからこそ、親御さんに意識してほしいのは「これまで通りを貫くこと」。秋以降で最も大切な戦略は、家庭の体制を変えないことに尽きます。
母親主導でここまでやってきたなら、最後までそのスタイルを守る。夫婦で協力してきたなら、これまで通りの分担で進める。
冬以降によく見られるのが「本当にこのままで大丈夫なのか」と不安になり、これまで口を出してこなかった父親が急に口を出してくるケースです。これ本当によくあるんですけど、本当に良くないのでやめてください。
この時期に家庭のルールや関わり方を変えると、せっかく3年かけて積み上げてきたペースが一気に崩れてしまいます。子どもにとっても、突然の変化はストレスになります。
受験直前期は、何かを“足す”より、これまでのリズムを“守る”ことのほうがずっと大切です。焦りから新しいことを試したくなる時期ですが、そこはぐっとこらえてください。
子どもの前に、まず親のメンタル
秋以降は子どもだけでなく、親御さんのやることも増える時期です。学校説明会から併願校の選定、試験日程の調整、ホテルの確保まで、裏方の仕事は意外に多いもの。
そうした事務的な忙しさに加え、心のほうにもじわじわと負担がかかってきます。「本当にこのままで受かるのか」「これだけやって落ちたらどうしよう」と不安が募る。思うように勉強が進まない子どもの姿を前にすると、焦りや苛立ちも生まれます。
しかし、意外に多いのが、自分自身がピリついていることに気づいていない親御さんです。子どもに厳しく当たってしまったり、つい感情的になってしまったり。それでも「自分は大丈夫」と思い込んでしまっている親御さんは結構いらっしゃいます。