「迷惑。どっか行ってほしい」ヤバイ配達員にピンハネ業…無法地帯フードデリバリーの深すぎる闇

後編 フード配達員の犯罪行為には目をつぶる日本…いつまでこのカオスを続けさせるつもりなのか
わずか2年で市場規模が倍増。日本に定着したフードデリバリーサービス
コロナ禍に躍進を遂げたフードデリバリーサービス。「Uber Eats(ウーバーイーツ)」「出前館」「menu(メニュー)」「Wolt(ウォルト)」「foodpanda(フードパンダ)」「DiDi Food(ディディフード)」「FOODNEKO(フードネコ)」などがしのぎを削り、2021年には約8000億円の市場規模まで膨らんだ。
その過当競争の果てに、後者の3ブランドは早くも日本から撤退している。現在の2強はウーバーと出前館。2019年の約4000億円に対して2年間でほぼ倍増である。当初は「日本では普及しないのではないか」と思われていたフードデリバリーサービスは、わが国に定着しつつある。
しかしその市場規模の陰で、従事する配達員の処遇や賃金には問題が山積している。筆者は2020年からこれまで、コロナ禍のフードデリバリーを実際に現場で取材、ときに多くの配達員の声なき声を拾ってきた。
孫請け、ひ孫請けは当たり前。合法的にピンハネする業界体質
昨今、ただでさえ単価の安いフードデリバリーにもまた「中抜き」が跋扈している。この場合の中抜きとは、本来の意味である中間業者を通さない取引のことではなく、「ピンハネ」を意味するスラングである。旧知のベテラン配達員が語る。
「ひ孫請けだと1回運んで数十円とかありますよ。それでも運ぶ人がいるのです」
ついにここまで来たか、という思いだ。