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「大阪は何も変わらない」浪速の商人が嫌うベンチャー精神…なぜ起業家が集まらないのか

 パナソニックに江崎グリコ、シャープにキーエンス……。大阪はこれまで、幾多の有力企業を輩出し、日本経済をけん引してきた。しかし1980年代以降、大阪発祥の有力企業の名はほとんど聞かなくなっている。なぜ、大阪で有力企業が生まれないのか。「みんかぶプレミアム:特集『大阪沈没~名古屋に完敗、福岡に抜かれる』」の第7回では、生粋の大阪育ちのジャーナリスト、松田小牧氏が、大阪発ベンチャー企業の現状と、今後の行く末を考える。 

目次

「大阪は変わらない。変わったのは東京」  

 かつて大阪にはあらゆる地域から人が集まり、経済の中心地として栄えていた。江戸時代には全国の米や特産物の取引が大阪で行われ、明治維新後には工業への移行を進めた結果、「東洋のマンチェスター」と称されるまでになった。 

 1925年には、関東大震災の影響もあったものの、大阪市は当時の東京市を抜いて人口・面積ともに日本一に。「大大阪」と呼ばれ、栄華を誇った。しかしその後、東京一極集中が進むと、大阪は相対的にその勢いを失っていく。翻って現在、大阪には成長著しいメガベンチャーと呼ばれるような企業は皆無に近い状態だ。 

 東京に大きく差をつけられた理由について、大阪に本社を置くベンチャー企業の経営者は語る。「大阪は変わっていない。東京が変わったんです」。特に大きな要因は、IT企業の集積の差だ。いまやIT関連の名だたる外資系企業や国内企業が、その本社を東京に置いていて、この分野での大阪という地域の存在感は極めて低い。

 確かに、顧客が法人であることが多いIT企業では、ビジネスの広がりを考えたときには東京に拠点を構えることが圧倒的に有利だ。また東京では、起業家同士のコミュニティが次々に生まれている。そこでノウハウの共有や新たなビジネスチャンスの創出が盛んに行われ、新たな起業家が誕生する――。そうしたサイクルがうまく回っているのだ。 

 関西のベンチャーが飛躍できなかった理由について、別のベンチャー経営者は「関西商人ならではの気質が影響している可能性もある」と話す。 

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この記事の著者
松田小牧

1987年大阪府生まれ。2007年防衛大学校に入校。人間文化学科で心理学を専攻。陸上自衛隊幹部候補生学校を中途退校し、2012年、株式会社時事通信社に入社。社会部、神戸総局を経て政治部に配属され、2018年第一子出産を機に退職。その後はITベンチャーの人事を経て、現在はフリーランスとして執筆活動などを行う。

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