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仕事用クレカのポイントを私用で使うのはアウト?セーフ?…大切な領収書をなくした時の裏技

 「ネット決済で領収書がもらえない」「ポイント還元で表示価格よりも安く購入できた」――。日常でよくある場面だが、元税務職員でマネーライターの小林義崇氏によると、確定申告を行う上では注意が必要だという。忘れずに対応すべき、見落としがちなポイントとは――。全3回中の2回目。 

※本稿は小林義崇著『あんな経費まで! 領収書のズルい落とし方がわかる本』(宝島社)から抜粋、編集したものです。 

第1回:「筆跡をチェックしろ!」税務署職員がビビっとくる“ちょっと怪しい領収書”の諸条件…むしろレシートのほうがイイ

領収書がないときは「出金伝票」を作成 

 領収書がないからといって、経費計上を諦める必要はまったくありません。税金の計算は「領収書の有無」ではなく、「経費を支払った事実の有無」が重要です。たとえ領収書がなくとも、事実として経費を払ったのであれば、申告すべきです。 

 ただ、経費の証拠がないと税務署から疑いを持たれる可能性があります。税務調査が行われるのは、申告をして数年経った後となるのが一般的です。ですから、税務調査で「この経費について教えてください」と聞かれたときには記憶が曖昧になっている可能性が高いでしょう。 

 ということは、領収書などの記録がなければ、きちんと経費の説明ができなくなります。そのため、領収書をもらえなかったときは、早めに情報をメモなどで残しておくことをおすすめします。 

 領収書を紛失したら、お店に領収書の再発行をお願いしたくなると思います。でも実は、領収書の再発行は断られるケースがほとんどです。というのも、お店にとって領収書はお金の受け取りを証明する書類ですから、お金を受け取ったタイミングに限り発行することになっているからです。 

 ただ、領収書をもらい損ねたら経費に入れられないのかというと、そんなことはありません。前述のとおり、大事なのは経費を支払った事実ですから、その事実を記録しておくことが大事です。 

 このとき、領収書の代わりに「出金伝票」を自分で作るという方法があります。文具店などで出金伝票の用紙が売られているので手書きで作ってもいいですが、会計ソフトを使ったほうがスムーズです。 

 ここで大事なのは、支払ったタイミングですぐに作るということです。時間が経つほど記憶が薄れ、実際の情報とずれるおそれがあります。また税務職員から見て、たとえば税務調査の直前に作成された出金伝票は、「税逃れのために偽造したのでは?」という疑いを持たれかねません。 

ネットショッピングは履歴を画像で保存 

 Amazonや楽天などで物品などを購入したときは、紙で領収書をもらうことが普通はありません。その代わり、注文履歴などの画面から支払い状況を確認できます。この注文履歴の画面には、注文した日付や、金額、商品の内容などが記録されているので、領収書の代わりになります。 

 気をつけなくてはならないのは、電子帳簿保存法の改正による影響です。2024年以降は、注文履歴などをプリントアウトして保管しても帳簿書類として認められません。画像データは画像データのままで保存してください。 

 また、データを保存するときのルールも設けられています。このルールはいくつかありますが、とくに注意したいのが「検索機能の確保」というもの。要は、データの原本を後から検索できるようにするということです。 

 たとえばファイル名に「日付」「相手先」「金額」を明記し、後ですぐデータを引き出せる状態にしておくのです。やはり望ましいのは、電子帳簿保存に対応した会計ソフトを使い、そのソフトの機能を使ってデータを保存する方法です。 

 もし会計ソフトを使わないのであれば、後からデータを探せるようにしておく必要があります。国税庁のホームページでは、索引簿を作成し、その索引簿からデータを探せるようにするという方法などが例示されています。 

 クレジットカードの利用明細も、経費の証拠書類になります。ただし、利用明細に書かれている情報には限りがあります。支払い年月日や金額はわかりますが、支払先や取引内容が十分に記載されていないことがあるので、領収書も一緒に保存しておくのがベストです。 

 また、クレジットカードの利用明細だけを保管していても、消費税の仕入税額控除は使えません。そういった意味でも、クレジットカードの利用明細とともに、領収書やレシートなども保管しておいたほうが安心です。 

「ポイントで得した」ときも申告が必要 

 クレジットカードで事業のための経費とプライベートの支払いが混在することがあります。 

 そのようなときは、どの支払いが経費なのかを明確にしておきましょう。そして、プライベートな支払いについては、帳簿に記録する際に経費と分けて記録しなくてはいけません。 

 たとえば事業用のクレジットカードから、生活費を払ったとしましょう。このとき、個人事業の場合は「事業主貸」と入力します。法人事業の場合は、役員借入金や仮払金として記帳し、後で精算してください。 

小林義崇著『あんな経費まで! 領収書のズルい落とし方がわかる本』(宝島社)

 このように、事業とプライベートの支払いを混在させると、帳簿付けが面倒になります。できるだけ「経費は事業用のクレジットカード」「生活費はプライベート用のクレジットカード」といったように使い分けるのが望ましいです。 

 クレジットカードなどで得たポイント還元は魅力的ですよね。ここで注意が必要なのは、経費の支払いにポイントがついた場合、これを税金の計算に反映させなくてはならないということです。 

 このときの会計処理の方法は2パターンあります。このどちらかを選んで、その会計処理を継続して使わなくてはいけません。まずは、値引きとして処理する方法(値引処理)です。たとえば2千円で消耗品を買って50円分のポイントがついたら、1950円の消耗品を買ったとして記録します。 

 2つ目の方法が、雑収入として処理する方法(両建処理)です。こちらは、ポイント還元を雑収入として記録します。私は、経費支払いの都度ポイントを確認するのが面倒なので、両建処理を使っています。 

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この記事の著者
小林義崇

マネーライター、Y-MARK合同会社代表。1981年、福岡県生まれ。西南学院大学商学部卒業。2004年に東京国税局の国税専門官として採用され、以後、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事。2017年7月、フリーライターに転身。書籍や雑誌、ウェブメディアを中心とする精力的な執筆活動に加え、お金に関するセミナーを行っている。

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