紅い中国軍が攻めてくる…日本は必然的に直接攻撃される! 日米台が勝つただ一つの方法(特集:丸わかり中国経済 第2回)

ペロシ下院議長の訪台によって一躍、現実味を増した「台湾有事」。私たち日本人は、もはや、ウクライナの惨状を遠い国の出来事と考えることはできない。みんかぶプレミアム特集「丸わかり中国経済」(全10回)の第2回では、鋭い分析眼で、国際政治の本質を照射しつづける気鋭の国際政治アナリスト・渡瀬裕哉さんに、台湾有事発生時の予測と、中台関係の今後を解説してもらう。
目次
いざ、有事発生で待ち受ける安保関連法の「冗長」なプロセス
ペロシ下院議長の台湾訪問、そして連邦上院議員による電撃訪問など、米国にとって台湾は自由民主主義の旗を掲げて中国を挑発する度胸試しの場となっている。
米軍はペロシ訪問について最低限の軍事力を配備する形で対応しており、中国側も日本の排他的経済水域(EEZ)にミサイルを撃ち込むといった踏み込んだ軍事演習での報復措置を実施した。その後、報復合戦のエスカレーションは、事前に米中首脳会談が行われていたことで回避されたが、今後同様の行為が繰り返されればいつか偶発的な衝突が発生してもおかしくない。
ただし、実際、台湾有事が発生するときは、中国側によって事前に周到な準備が重ねられたものと想定することが妥当だ。では、仮に台湾有事を発端として米中戦争が勃発した場合、一体どのようなシナリオが妥当であろうか。
いざ、有事が発生した場合、自衛隊は2016年に施行された安全保障関連法に基づいて「事態認定」を行うことになっている。後方支援は「重要影響事態」が発生している状態が必要であり、集団的自衛権を行使するには「存立危機事態」の認定が行われなくてはならない。日本が攻撃された場合は「武力攻撃事態」となり、個別的自衛権に基づいて自衛隊が防衛出動することになる。それらの事態認定のためには、国家安全保障会議、閣議、国会承認が必要だ。非常に複雑かつ冗長なプロセスである。
台湾有事を想定し、日本政府は「事態認定」を速やかに行うためのシミュレーションを繰り返しているようだが、現実には無用な心配になる可能性が高い。なぜなら、台湾有事が発生するときは、必然的に日本への直接攻撃が行われることになるからだ。直接攻撃を受ければ、悠長なプロセスを踏んでいる場合ではない。
日本への奇襲攻撃が行われることは火を見るよりも明らか
当然であるが、中国の圧倒的な軍事力に対して台湾は独力で対抗できない。したがって、台湾有事が発生した場合、台湾の後ろ盾となっている米国および日本への奇襲攻撃が行われることは火を見るよりも明らかだ。