望月衣塑子「記者はモノをいうためいる」「朝日新聞の過ち」「記者クラブはなくなるべきだ!」(本音のインタビュー #3)

東京新聞の望月衣塑子記者といえば、安倍晋三政権下の官房長官会見で、ひたすら質問をし続けているイメージを持つ人は多いはずだ。一部記者クラブ会員からも煙たがられていたが、めげることのなかった望月記者の姿は、改めて「記者クラブとは何か」と国民やマスコミ各社に疑問を投げかけた。その後記者クラブは変わったのか。売れない新聞はどう変わればいいのか――。(望月衣塑子「本音のインタビュー」全3回の3回目)
第1回:望月衣塑子「菅義偉のすごさ、岸田文雄の愚かさ」「秋にも解散説」「3.11を忘れるな」
第2回:望月衣塑子「統一教会問題、落としどころ」「安倍事務所の無視」「なぜメディアは報じてこなかったか」「共産党は変わった」
目次
記者クラブはなくなった方がいい、記者会見には誰がきたっていい
――記者会見に対してさまざまな問題提起をしてきましたが、記者クラブは変わりましたか。
変わったようで本質的には変わっていないと思っています。
たしかに、記者はどんな質問をしているのか見られる時代に変わりました。しかしコロナになって官房長官会見で1社1人までという制限がかけられ、国葬に関する首相会見でも1人1問まで。記者はその制限に抗うこともなく受け入れ、逆にそのことをちゃんと聞くべきことを聞かない言い訳にしてしまっているようにも思います。
――記者クラブはこれからも存在するべきだと思いますか。
なくならないとは思いますが、本来あるべきジャーナリズムを考えた場合、なくなった方がいいと考えています。
――そもそもなぜ記者クラブは存在するのですか。
元々、明治時代、第1回帝国議会が開催された際、議会側が示した新聞記者への取材禁止の方針に対抗して、時事新報の記者が各社の記者に呼びかけて、記者団を結成し、議会における議員の発言を傍聴したり、議事録を作成したりしたことから始まっています。今でも国民の関心の高い問題などに対しては、必要に応じて、記者会見の開催を政府や省庁側に要望するといったことをしています。
記者クラブ自体は民主主義的な発想から始まってはいるのですが、それがすごく強固になってしまい、既得権益化してしまっているのが、戦後の日本の現状ですね。
ほかにも、例えば当局から重大発表があるとき、それが誤報にならないように、実際の記者発表の前に事前にポイントなどを発表者が記者向けに説明する「事前レク」もあります。これは最高裁判決はじめ、発表する事案が高度かつ注目度が高い場合に、誤報を防ぎたいという発表者側の意向が反映されています。
――記者クラブを解放し、多くの人が政府の記者会見に出入りするようになると、それはそれで混乱が起きてしまいませんか。
民主党時代に開放したときはそこまで大きな問題は起きていませんでした。立憲民主党の会見もフリーの人を入れていますが、フリーの人はわれわれ大手マスコミとは違った問題意識や視点をもっており、官房長官会見や首相会見を見ていてもフリーランスの方がむしろ、一般の方々の肌感覚に近い質問をストレートにしてくれることが多いように感じられます。番記者以外の記者が入ることで、会見がより有意義なものになっていると思います
当局とガチガチに癒着する記者クラブの危ない現状
――記者クラブ自体は日本独自のものではなく、もちろんアメリカにもありますよね。