「狭小住宅増えて嫌よね」文京区のサイコ教育ママと塾代”重課金”娘が絶望…「本物の金持ち」の壁 窓際三等兵・連載タワマン文学「TOKYO探訪 茗荷谷」

”天才”タワマン文学作家・窓際三等兵がおくる「連載・TOKYO探訪」第4話は前回(東池袋編)の続編だ。ポン女の同級生・美咲が住む東池袋タワマンを訪れた裕美だが、近隣学校への「盗撮やのぞき」も懸念されるタワマンを改めて侮蔑した。そうして自身が住まう “歴史と伝統が香る” 文京・茗荷谷に戻った裕美だが、自宅のペンシルハウスが地元の名家から嘲笑されていることを知った。もうやめて! お受験戦争に2度も殺された娘のライフはもうゼロよ――。
下品なタワマンを嫌い、文京区で買った激安”掘り出し”物件
「里奈ちゃんは来年から保育園なんだ、じゃあお受験大変だね」
水道橋のラクーアに併設されたプールで、微笑みながら話す千尋さん。ベビースイミング教室で揺さぶられた私の価値観。あんな世界、知らなかった方が幸せだったのかもしれない。でも、知る前には戻れない。文京区に、住んでいます。
文京区。その地区は東京という大都市の中心部でありながら、その名が示す通り、学園都市としての顔も持つ。東京大学を頂点に錚々たる国立大学や附属校が校舎を構え、その学び舎がもたらす豊かな自然を取り囲むように並ぶ閑静な住宅街。茗荷谷駅から徒歩7分、春日通りから奥まった一軒家に暮らしてもう8年になる。
大学時代の同級生の美咲が東池袋のタワマンに引っ越したと聞いたとき、埼玉県民の美咲らしい選択だな、と思った。池袋とか、タワマンとか、そういう下品な世界。私は地に足のついた生活をしたかったし、資産価値を気にしてせせこましく35年も過ごすのなんてまっぴらごめんだったから、戸建てを選んだ。
20坪の狭小邸宅は実家の成城の家よりずっと狭かったけど、まあ職場にも近いし、と自分に言い聞かせた。「掘り出しものですよ」と紹介されたのは建ぺい率を限界まで高めたペンシルハウスだった。「(えっ、これが掘り出しもの?)」という気持ちがつい表情に出てしまった瞬間「(嘘なわけねぇだろ、カス。文京区で庭付きの家なんててめえなんかが買えるわけねぇだろ)」という不動産屋さんの心の声が聞こえたのはきっと気のせい。
「狭い家増えて、嫌よね」ラクーアのプールで嘲笑されるペンシルハウス
でも私は知らなかった。百姓の子孫だらけの世田谷と違い、文京区には「本物」がいるということを。