10年で10倍増の唐揚げ屋ブームがついに終了…脱サラFCオーナーたちの悲鳴がきこえる
焼肉を抑え、2年連続「好きなおかずランキング」1位を続ける「唐揚げ」
流行り物は廃り物と言うが、「好きなおかずランキング」1位を獲得した国民食が今、ピンチを迎えている。老若男女を問わず人気が高い「唐揚げ」は大手外食チェーンによる専門店の出店ラッシュで市場が急拡大してきた。しかし、最近の過当競争で経営が圧迫され、わずか1年も経たずに閉店に追い込まれる店舗が相次いでいる。特殊な調理技術が不要で、低コストでの開業も可能なため「脱サラの好手」とも言われた唐揚げ専門店。その後退感は、かつて一大ブームを巻き起こしながら、急速にしぼんだタピオカ店を想起させる。
一般社団法人「日本唐揚協会」によると、2022年4月時点の唐揚げ専門店数は全国に4379店舗(推定)あり、12年の450店舗から10年間で10倍近くに急増した。季節を問わず食べられる唐揚げは低価格で腹を満たす「国民食」といえ、ニチレイフーズが21年8月に実施した「好きなおかずランキング」でも、焼肉(69.4%)や餃子(69.1%)を抑えて2年連続でトップ(70.8%)を獲得した。
リーマン・ショック以降、日本列島を覆ったデフレマインドに順応するように、低価格のおかずの代表格として食卓に並ぶようになった唐揚げは、専門店がジワリと増加してきた。だが、全国レベルで出店ラッシュが見られるようになったのは大手外食チェーンの参入が要因だ。
居酒屋チェーンで有名な「ワタミ」は、18年11月に東京都大田区に「から揚げの天才」を出店し、21年7月には100店舗を運営するまでに急拡大、すかいらーくグループはファミレス「ガスト」に併設する形で専門店「から好し」を展開している。マーケット調査会社「富士経済」の調査によれば、唐揚げ専門店の売上高は20年に約1050億円、21年には約1200億円を突破したという。