扶養「年収106万円の壁」死守は長期的に損である理由…今日の「手取り」減少を気にしてしまう残念な人
「専業主婦が当たり前」の気持ちでいたら、円満家庭に亀裂が生じることも
夫は会社で働き、妻は家事・育児に奔走する。昭和時代に当たり前のように見られた家族の姿は、平成から令和に入った今、失われつつある。総務省によると、バブル時代に900万世帯を超えていた専業主婦を持つ家庭は「右肩下がり」に減少し、2021年には566万世帯へと激減した。その一方で共働き世帯は700万超から1247万世帯に上昇し、夫婦で分担しながらライフイベントに備える「新しい当たり前」が浸透しつつある。だが、今後は夫が妻に、「もっと働けないの?」と言わなければならない時代に入るかもしれない。円満家庭に亀裂が生じかねない働き方の選択は今秋に迫る。
2022年7月に厚生労働省から発表された日本人の平均寿命(21年)は男性81.47歳、女性87.57歳で、東日本大震災があった2011年以来、10年ぶりに前年を下回った。とはいえ、女性は世界でトップ、男性は3位という長寿大国に変わりない。内閣府の22年版「男女共同参画白書」によると、90歳時の生存割合は女性で52.6%に達し、男性でも28.1%に上る。老後の病気や介護生活などに向けた資産形成の重要性は増すばかりだ。
人生100年時代、節約や投資など「賢い家計」の方法は家庭によって様々だが、これまで「生きがい」や「生活費の足し」のために時間をやりくりしながら働いてきた伴侶の働き方は、22年秋以降に大きく変わるかもしれない。社会保険(厚生年金・健康保険)の制度改正に伴い、22年10月から社会保険の適用範囲が拡大されるからだ。
社会保険は16年10月の制度改正により、従業員501人以上の企業で①1週間の所定労働時間が20時間以上②雇用期間は1年以上③賃金の月額が8万8000円以上④学生ではない―という要件を満たした人に適用されている。それが22年10月からは「従業員101人以上」の企業にも適用が拡大され、雇用期間も「2カ月を超える雇用」の見込みがある人になる。要件を満たすパート労働者やアルバイトなどの短時間労働者には、社会保険の加入義務が生じることになるのだ。