元三井物産、資産数億円投資家が守る「株式投資の大原則」とことん信頼できる企業を見つける方法…信頼すべき指標

日経平均株価が乱高下している。そんな中でも元三井物産の投資家、紫宝氏は「日本企業がこれからも成長していくと信じられるのであれば、株価が下落したときほど喜ぶべき」と話す。そんな紫宝氏が大事にしている考え方や指標についてうかがった。みんかぶプレミアム特集「資本主義の終わり」第7回。
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矛盾している投資家が多すぎる
2月28日の東京株式市場では、アメリカの景気に対する懸念などから日経平均株価の終値が1100円安と、大きく反落しました。不安に思った方も多いのではないのでしょうか。
ただ大前提として、「企業に投資をする」ということは、その企業の成長を信じているからこそできることのはず。その企業に期待をしていないのに多額の資金を投じるなんて、矛盾していますよね?
確かに、いまの日本は少子高齢化が進んでいますから、かつてのように「これからの日本は右肩上がりに成長していく!」と信じられるほど楽観的な状況にはないかもしれません。けれど、企業個別で見れば、まだまだ成長できると信じられる銘柄は日本を代表する大型企業も含め、たくさんあります。
そして、それらの企業の未来を信じて投資している限り、株価が下落すれば安く買い増せるわけですから、資産形成段階であればむしろ喜ぶべきことなのです。それなのに株価変動に一喜一憂している人が多すぎる——―私はそんな印象を持っています。
「日経平均EPSが伸びていくか」を考える
私自身はもちろん、日本企業全体の稼ぐ力はこれからも伸びていくと考えています。そこで見ているのが、「日経平均EPS(1株あたり純利益)」です。日経平均EPSとは要するに、日本を代表する企業全体の稼ぐ力です。
日本株の投資価値、割安割高を判断したいときには日経平均PER(株価収益率)を見るという人も少なくないと思います。PERとは、「株価が1株当たり純利益(EPS)の何倍まで買われているか」を見る指標です。計算式としては「株価÷EPS」で表されます。
ただし、PERは計算式に「株価」が含まれていることから、どうしても稼ぐ力とは関係ない部分、“単なる期待や失望ベースでの”いっときの需給影響による株価の上げ下げに左右されてしまいがちです。そのため、PERももちろん重要な指標ではありますが、シンプルに稼ぐ力の安定性や成長が見たい場合は、私は少なくとも短期ではPERそのものは重視していません。
ついては、日本を代表する企業たちの純粋な稼ぐ力のみを表す日経平均EPSの推移を見るほうが、日本株の行方を考えるうえでは適切だと思うのです(企業ごとに見るときは営業利益・経常利益がしっかりしていることなども確認します)。「日経平均EPSが今後も長期で順調に成長していく」と信じられるからこそ大枠で見て日本企業の株を買う。私の中での株式投資は、こんなにシンプルな話なのです。
もし日経平均EPSが今後も伸びていくと信じられないのであれば、外国株式(インデックス含む)を検討したほうがいいでしょう。