資産3億円投資家が指摘する「世界経済、要警戒ポイント」を見逃すな…今、ジワジワ上向ているトレンドと「今投資家がやるべきではないこと」

長年、株式投資をしている人で、サラリーマン投資家の「弐億貯男」氏を知らない人はいないだろう。着実に資産を増やすことを得意とし、「2020年に資産2億円を目指す」というプランを見事、有言実行した凄腕投資家だ。現在の資産は約3億円、2029年には5億円を目指すという。そんな同氏に、トランプ大統領就任後の相場の見方や、注目業界・注目銘柄などを聞いた。連続インタビュー全3回の第1回ーー。
目次
トランプ大統領就任後の4年間は「やめるべきこと」
――トランプ大統領就任後の相場について、どのようにお考えですか。
やはり日本株は米国株の影響を受けがちなところがあります。トランプ大統領が就任する前は「トランプラリー」に期待が集まっていましたが、みんながそれに期待しているとそうはならないものだなと改めて思いました。つまり株高を期待した人々は手持ちの株を売りたがったんですね。だからこそ、思うようには株価があがっていかなかったのです。私にとってもちょっと期待外れな結果に終わってしまいました。
就任後は関税の問題や、ロシア・ウクライナ問題、イスラエル問題など、本当に何が起きるか分からないような状況です。正直、相場の予測は短期では予想がつかないというのが実感です。
ただ、トランプ大統領からどういう発言が出るか分からないからと言って、投資を控えていると4年間何もできなくなってしまいます。当面の株式投資においては、レバレッジ運用やフルポジションといった無理な投資は控えた方がいいでしょう。私自身も常に買付余力を3割程度残している状況です。
トランプ大統領とは今後4年間付き合っていかなければなりません。投資家としても、株式投資は今まで通り続けるというスタンスでいいと思っています。
――トランプ大統領就任前後で市場の雰囲気に変化はありましたか。
就任前はみんなが「トランプラリー」に期待していましたが、実際には思ったほど盛り上がりませんでした。これは、多くの投資家が「もう少し上がったら売ろう」と考えていたからではないでしょうか。強気な見通しが広がると、実は多くの人が売り時を探っているという状況になります。
私自身も去年から今年にかけてあまり調子が良くなかったので、トランプラリーで相場が上がれば利益確定したいと思っていました。しかし、期待していたほどの上昇はなく、少し不安を感じています。
米国経済の警戒ポイント
気になるのは、米国内でのクレジットカード債務残高がリーマンショック並みに大きくなってきたという報道です。クレジットカードの延滞率も過去最大級に上昇しているようです。
こういった状況を見ると、米国が景気後退に入っているのではないかという懸念があります。米国の景気が後退すれば、その影響を日本も受けることになります。米国の金利が引き下げられ、日本は金利引き上げの局面にあるため、金利差が縮んで円高になり、日本株にとってはマイナス要因となる可能性があります。
ただ、このクレジットカード債務の増加については、インフレを加味すると当然の増加だという意見もあります。しかし、延滞率の上昇はインフレとは関係なく、実際の消費者の支払い能力の低下を示している可能性があります。
米国内の消費が失速するタイミングがいつ来るのかは予測が難しいですが、日本株投資家としては、短期的には米国市場の影響を受けることを念頭に置いておく必要があります。
ただ、こうした懸念材料があるからといって、極端に全ての株を売却するようなことはすべきではありません。中長期投資の人は、こういった短期的な材料をあまり気にせず、買付余力を残しながら投資を続けるのがいいでしょう。極端なノーポジションもフルポジションも避け、バランスを取ることが大切です。
一方で米国の急速なインフレを加味したら現状のクレジットカード残高もそこまで懸念するような額にはなってないのではないかという指摘もあります。いずれにせよ私は警戒を強めています。
日本の政治状況と株式市場
――日本の政治状況が株式市場に与える影響についてはどうお考えですか。
日本の政治動向が株式市場に直接影響することはあまりないと思います。もちろん一時的な影響はあるかもしれませんが、長期的には企業業績の方が重要です。
個人的な政治的好みはありますが、株式投資の観点からは、現在あまり人気のない自民党でも、日本株にとってはどちらかというとフォローになる存在です。立憲民主党や共産党が多数を握ると、株式市場には圧力になる可能性があります。
しかし、政治と株式市場の関係はそれほど強く意識していません。むしろ、経済政策や金融政策の方が重要だと考えています。
今トレンドを感じる〇〇株
――現在の投資スタイルについて教えてください。
私は中小型株中心の投資家です。去年と一昨年は中小型株はグロース指数などが右肩下がりで、資金が回ってこない状況でした。大型株中心の投資家は儲かった一方で、私のような中小型株中心の投資家は振るわない成績でした。
しかし、だからといって配当株や銀行株など、他の投資スタイルに変えるべきではないと考えています。今年は中小型株のターンかもしれません。実際、年明けからプライム市場と比べると、グロース市場やスタンダード市場は好調で、私自身も今年に入ってからは出だしが好調です。
年によって注目される投資先は変わりますので、今儲からないからといって投資スタイルを変えるのはやめた方がいいでしょう。今までやったことのない投資商品に手を出すと、そこでは初心者からのスタートになります。中級者である現在の運用スタイルを続ける方が勝ちやすいと思います。
――中小型株の魅力はどこにありますか。
中小型株の魅力は、大型株と比べて相場の影響を受けにくい点です。中小型株は内需中心の企業が多く、為替や国際情勢の影響をあまり受けません。例えば、米国株が下落してNASDAQやNYダウが下がった時に、日経平均株価は大きく連動して下がりますが、中小型株はそれほど影響を受けないことが多いです。
また、時価総額が小さいため、少額の資金流入でも株価が大きく動く可能性があります。これは上昇相場では大きなメリットになります。
さらに、中小型株は大型株に比べてアナリストのカバレッジが少なく、情報の非対称性が生じやすいため、しっかり調査すれば割安な銘柄を見つけられる可能性が高いです。