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国際的投資家が日本に警告「今、中国人が必死になって山林を買いまくっている」…米国のアクティビストファンドが狙う日本企業銘柄リスト

(c) AdobeStock

本稿で紹介している個別銘柄:タダノ(6395)、住友大阪セメント(5232)、ジャパンマテリアル(6055)、日鉄ソリューションズ(2327)、日本光電工業(6849)、三和ホールディングス(5929)、TSIホールディングス(3608)、ユタカフーズ(2806)

 3月31日の日経平均株価は、3万5617円56銭と大幅に3日続落して引けた。低調な日本株の現状に株式評論家の木戸次郎氏は「今こそ日米金利差を埋めるべきだ」という。中国、台湾、アメリカ企業に日本が買われつつある現状に警鐘を鳴らすーー。みんかぶプレミアム特集「トランプ関税『攻略』投資術」第1回。

目次

今こそ日米金利差を埋めるべきだ

 株式市場も為替市場もここのところは方向感の乏しい展開が続いている。株式投資というのはボラティリティが大きければ大きいほどチャンスであるのに対して、今の市場は完全に停滞してしまっている。

 いうなれば、どっちつかずの状態なのだ。これは日銀や政治が現状、日本経済の根幹が揺らぐほどの不況で危機的状況にあるのにも拘わらず「事なかれ主義」の姿勢を貫いているからなのだと思う。

 今回も日銀は政策金利を据え置き、利上げを見送ったが、今や長期金利(国債10年物)は1.6%に迫る勢いで2008年10月以来、約16年5ヶ月ぶりの高水準を記録している。さらに米国の長期金利は4.3%台のボックスで推移している。今こそ、政策金利の引き上げをして一刻も早く日米の金利差を埋め、円高にすることで物価高に歯止めをかけるべきなのだ。しかし、日銀のお偉いさんは誰も責任を取りたくないので平然と静観してしまう。これこそが「事なかれ主義のどっちつかず」なのだ。将来の日本や子供たちのことを考えることなく、「今を無難にのりきれれば、将来のことは知らない」ととられても致し方ない。

 日々、激しい値上げと対峙し、闘い続けている民間企業や家計には静観する余裕などない。常に策を講じなければそれは自らを死に追い込むことになるからだ。一般国民や国益のために闘おうとする委員は残念ながら一人も誰もいないということになる。

輸出額が過去最高でも、輸出量は3年連続減少している

 前回のコラムでも再三にわたり書かせていただいたが、円安放置は輸出産業だけが恩恵を受けるだけで、仮にそれで税収が増えたとしても絵に描いた餅なのである。円安放置は企業そのものの国際競争力をも低下させてしまっていることに多くの専門家が危機感を持っていない。確かに2024年の輸出額は前年比でも6.2%増の107兆912億円と昨年に続いて2年連続で100兆円を超えており、1979年以降で過去最高を記録している。

 しかし、輸出量で見ると3年連続で減少していて、早ければ2025年にも輸出の数量指数は2020年に定めた100を切る可能性すら考えられる。輸出額が増えているのは為替レートの年平均が1ドル=150.97円と7.7%も円安だったことに尽きるのだ。少々割高であっても製品の性能や技術力が優れているから日本製品を買うというのは昔の話で、今や「安いから日本製品を買う」という選択肢が終わりを告げようとしているのではないかと思う。輸出量低下は「日本製品は確かに安いけど、新しい中国製品や韓国、台湾の製品の方が優れているから買う」という選択肢がでてきているということになろうと思う。実際に私の周りでも中国の電気自動車のBYDに乗り換える知人が随分と増えてきた。中にはテスラから乗り換えるという人も複数いる。皆は安くて高性能で何でもスマホで遠隔操作できて便利だと口を揃える。もはや、安価でインチキなジャンク品を製造していた中国の姿はもうないといえるのかもしれない。

25年3月だけでも2343品目もの値上げ。4月にはさらに10797品目の値上げが決まっている

 私が円高を声高に訴えるのには2025年は2024年とは比較にならないほどの激しい値上げが決まっているからだ。2025年3月だけでも2343品目もの値上げがなされたが、4月には何と10797品目の値上げが決まっている。それも平均の値上げ率が16%という恐ろしい数字だ。原子力を除くエネルギー対外依存度は91%であるので、今日の光熱費代が生活を圧迫するほど高くなってしまっているのは致し方ないところであろう。

 食でも飼料用とうもろこし100%、大豆94%、エビ91.55%、小麦84%、砂糖類66%、魚介類、肉類に至っても50%近くが輸入に頼っている。また、「衣」の分野でも羊毛100%、綿花100%、衣類97.9%と極めて対外依存度は高い。昨今、自動車用のタイヤが値上げに次ぐ値上げで話題になっているが、天然ゴムは100%対外依存しているのだ。

中小企業の15%が賃上げすら実施できない状況に追い込まれている

 今年の春闘で平均賃上げ率(連合第1回回答集計)は、5.46%と前年(同時点集計5.28%)をやや上回り、2年連続で5%台の伸びを記録して話題となっているが、この4月だけの値上げ率が16%以上であることを考えても到底追いつかないことになる。

 中小企業に関しては中小企業では3%台の賃上げ率が28.9%と最多で、次いで5%台が27.0%などとなったが、連合が大手企業との格差是正に向けて掲げている6%以上の賃上げを実施できた企業は9.1%にとどまっていて、引き続き格差を埋める状況にはなっていない。  

 問題は中小企業の15%が賃上げすら実施できない状況に追い込まれているということだ。その多くは原材料価格や電気代などの高騰とコスト増加分を十分に価格転嫁できていないという理由だそうだが、円安の是正はもはや急務だと思う。

 賃金が上がらず、ほんの一部の輸出企業や大企業だけが勝ち組で、9割近い大多数の国民は負け組と化しているのだ。日本人はもはや貧しくなってしまっている。円高であれば、多くの日本人が海外を闊歩するであろうが、今は世界のディスカウントショップと化した貧しい激安日本に世界中の旅行者が押し寄せている。多くの国民はディスカウントショップ日本のバイト店員というところなのかもしれない。

日本には強いリーダーが必要だが…石破、高市では心もとない

 つい、10年前までは発展途上国と言われていた東南アジアのインドネシア、タイ、ベトナム、カンボジアなどに旅行すると、如何に日本が豊かであるかを再確認できたし、我々日本人は富士山の頂上から彼らを見下ろしていたくらいの差はあったはずだ。それなのに、今では東南アジアからの旅行者が日本は安いからと大挙して押し寄せ、我々日本人でも敷居が高いような超高級ホテルに滞在し、高級レストランで贅沢な食事を楽しんでいるようだ。新幹線でもグリーン車やグランクラスは軒並み外国人しか乗っていない。日本のリーダーはこういう事にも危機感を持つべきだと心底思う。

 そのためには強いリーダーシップを持っていて国益のために世界と闘えるリーダーの存在が絶対だと思う。日本のリーダーは石破総理だが、国際会議での座ったままの握手や腕組み、スマホ操作、はたまた各国首脳との集合写真の記念撮影欠席と外交マナーで何かと物議をよんでいる。最近では食べ方が下品だとか箸の持ち方など散々の言われようで情けない。

 そのうえ、商品券配布問題に内閣官房機密費を使ったのではないかという憶測で内閣支持率は急降下している。

 ところが、不思議なことに今回の件で「首相を辞任する必要がない」という世論調査を見ると、産経・FNNの世論調査では62.6%、朝日新聞の世論調査でも60%に達しているのだ。

 政治と金の問題としては商品券を官房機密費で買ったとの疑惑を受けているが、それは靖国神社の玉串料と同じでどの財布から出ているかなどは憶測だけで断定など誰もできない。自民党内での石破おろしの動きや高市早苗待望論などが囁かれているが、仮に高市さんが総理になったところで世界と闘えるかと言えば、答えは限りなくNoに近いであろう。

 中国、韓国に批判されようが臆さず堂々と靖国参拝するということがその大きな理由なのだそうだが、そもそも高市氏は1994年(平成6年)、政策集団「リベラルズ」に参加しており、対極にいたといってもよい人物だ。ただ、第一次安倍政権時代に閣僚として靖国参拝を宣言したことから、今まで続いているだけで、その事で高市さんが世界と闘えるというのは些か早合点のような気がする。仮に高市さんに総理が交代したところで政治と金の問題が収まるとも思えないし、「日米、日中外交などでいったい何ができるのだろうか?」という疑問は残る。

高市さんの靖国参拝はわざわざ取り上げるまでもない事柄

 私も日本人として祖国のために命を捧げた戦没者を称え、敬意と感謝を表するために終戦記念日には必ず靖国神社を参拝しているが、これは先祖に感謝し、敬意を表する墓参りも同様にごくごく自然なことだと思っている。

 そして、これは日本に限ったことではなく、米国にも祖国のために命を捧げた軍人を称える公式の「デコレーション・デー」と呼ばれる記念日がある。だから、高市さんの靖国参拝はわざわざ取り上げるまでもない事柄だと考えている。

 さらに商品券問題で内閣支持率を大きく低下させているが、この問題で参議院選挙前に石破おろしを訴えている自民党参議院議員連中も仮に内閣官房機密費を使っているのか否かという問題が岸田内閣の時代や菅内閣の時代、安倍内閣の時代まで遡るとどうだったのかと追及されるようになれば、党内のそうした声は自然と減っていくことになると思う。

過去の日本のリーダーによる「ことなかれ主義」で後の世代が苦しむ結果に

 今の日本の政治家が真っ向から靖国参拝の問題について他国に反論できないのは、経済力、軍事力の面で中国や韓国にかなわなくなってきてるので、強く出れないというのが本音であろう。高度経済成長期から1990年代までは3位以下を大きく引き離した世界第2位の経済大国であったかつての日本は、圧倒的な経済力で戦後賠償や戦後処理の一環としてなされた経済協力や支払いなどを中国、韓国、北朝鮮はもとよりフィリピン、ベトナム、ビルマ、マレーシア、ラオス、カンボジア、マレーシア、シンガポール、韓国、ミクロネシア、タイ、フランス、インドネシア、ビルマ、モンゴルなどにしてきた。

 今年は戦後80年を迎えるが、未だに事実が湾曲されて徴用工や従軍慰安婦、満州の平頂山事件、南京事件などで責任を問う声があるのは、それこそ当時のリーダーたちの「村山談話」や「河野談話」など、今さえ乗り切れれば後は野となれ山なれ的な発想でとりあえず謝っておこうという「ことなかれ主義」の最たる姿勢だったという反省をしなければならないであろう。今後、日本のリーダーが「ことなかれ主義」の姿勢で臨むと、今後、何十年も次の世代もその次の世代も苦労することになるのだ。

中国は日本と米国の切り離しと日本の取り込みに躍起

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この記事の著者
木戸次郎

1965年生まれ。明治大学政治経済学部卒。 地場証券会社を経て投資顧問会社の代表取締役。その後、ベトナム国営バオベト証券バオベトジャパン理事、ベトナム国防省タイソングループ顧問、外資系ファンドの戦略アドバイザーを経て現在はTMI総合法律事務所のマーケティング担当。著書にベストセラーとなった『修羅場のマネー哲学』(幻冬舎)『修羅場の鉄則』(幻冬舎)、『木戸次郎の大化け株』(宝島社)、『株はあと2年でやめなさい』(第二海援隊)、『常勝の株』(講談社)ほか多数。

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