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元外資証券会社本部長億トレーダー「米国企業はいまが買い時だ」…注目セクターと銘柄を暴露「円高に進む可能性が高い」

(c) AdobeStock

本稿で紹介している個別銘柄:ディスコ(6146)、東京エレクトロン(8035)

 トランプ大統領の就任以後、下落基調にある米国株。しかし、欧米系証券会社の元本部長で現在は米国IT企業の在日代表を務める億トレーダーのABC Trader氏は、「ここまで下がれば、これまで手が出しづらかった銘柄も割安になっている」と話す。米国経済が停滞している原因と、これからの米国の見方について、ABC Trader氏にうかがった。みんかぶプレミアム特集「トランプ関税「攻略」投資術」第3回。

目次

「米国景気後退」観測の二つの背景

 いま、「アメリカで景気後退が起こるのではないか」とさかんに言われています。この要因として、大きくは二つのことが考えられると思います。

 まずは当然ながら関税です。関税については、確かにもし貿易量が変わらなければ、ただ関税分が上乗せされることになりますから、歳入はプラスになります。ただし、関税のために貿易量自体が減ってしまうことも十分考えられますし、輸入品の価格が上昇することで、消費者の負担が増大する可能性もあります。

 またもう一つは、実はトランプが就任するより前に、米国経済がピークを打っていたとみることもできます。2022年10月ごろから概ね右肩上がりで推移してきた米国の代表的な指標であるS&P500も昨年末から少しずつ下がり始めていましたし、消費者のセンチメント(感情)も徐々に悪化していました。昨年12月には、米消費者信頼感指数も3か月ぶりに低下しています。

 1月に入ってから、トランプへの期待感からやや株価は上がったものの、実態としては経済もセンチメントも冷え込み始めている状況でしたから、関税の影響なども相まって米国株が低下していったという流れです。

米国株は「これからが本番」といえる理由

 ただ私としては、この状況を楽観的にみています。

 バイデンとイエレンは、新型コロナウイルスの流行下で経済が停滞した際、金融緩和と財政支出を展開する「高圧経済政策」を展開しました。この「やりすぎ」とも言える政策はコロナ禍では一定の効果がありましたが、本来はアフターコロナの初期段階で終わらせるべきでした。でも両者は任期の最後までやり続けてしまいました。

 ですからトランプは「バイデンは政府支出の拡大で無理やり経済を良くしただけ。だから政府支出をカットしなければ、ゆくゆくは財政問題につながっていく」と主張し、政府支出の削減に踏み切りました。

 ただし、そもそもGDP(国民総生産)というものは、「消費+投資+政府支出(輸出-輸入)」で計算されます。いまトランプは、政府支出を削減した分を減税や規制緩和を行うことで補おうとしていますが、減税や規制緩和を行うことによる効果が出てくるのはどうしても政府支出の削減による効果が出るよりも時間がかかります。そうなれば必然的に、GDPはマイナスになりますよね。

 また歴史を振り返ってみても、「政府主導から民間主導へ」というトランプの政策は、同じ共和党のレーガン政権の施策によく似ています。レーガン政権下では「レーガノミクス」を断行し、経済が右肩上がりに成長していったような印象を持っている人も多いと思いますが、実は就任2年目の経済成長率はマイナスになっています。改革の成果が出るのは、一定程度時間がかかるのです。

 ですから、米国は「まだまだこれから」だと言っていいと思います。さらに付け加えるならば、確かにS&P500の下落幅は大きいですが、もともとヘッジファンドは1月に大きなポジションを取りますから、2月というのはどうしてもパフォーマンスが下がりがちだという背景もありました。

 トランプの根本は、政治家ではなくビジネスマンです。政治家であれば譲れない信念を持っていることも多いですが、ビジネスマンは状況に合わせて臨機応変に動きますよね。トランプは株式市場を注視していますから、今後株価がさらに急落するようであれば、必ず何か手を打ってくるはずだとも思います。 

ウクライナ戦争終結でトランプが得る利益

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この記事の著者
ABCTrader

日系証券の海外拠点でディーラーとセールス、帰国後は複数の欧米系証券でエクデリ、 ECM、株式本部長やマネジメントを歴任。現在は宅地建物取引士の資格を持ち、不動産投資会社、不動産仲介会社、コンサルティング会社(事業再編、IR)の3社を経営。株式投資、FX投資、不動産投資を中心に運用している。日本証券アナリスト協会協会員。

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