数字だけを見るな!人気の敏腕投資家「ぶれない投資判断」大波乱相場のリスクコントロール術

本稿で紹介している個別銘柄:日精エー・エス・ビー機械(6284)、パラマウントベッドホールディングス(7817)、フォスター電機(6794)
中長期保有を基本としながらも、相場の変化には柔軟に対応する。そんな投資スタイルを貫き、元手50万円を追加入金しながら累積入金額1400万円に増やした個人投資家・なごちょう(@Nagoya_Tyouki)氏が、2025年も好調な滑り出しを見せている。日本株への相対的な優位性に着目しつつ、インフラ関連の新たな動きにもアンテナを張っている。
全3回にわたってお届けするインタビューの第2回。本質を見極めるために「数字」だけでなく「素性」も重視し、今もなおアップデートを続けるなごちょう氏に、投資に関する“リアルな体験”について伺った。
目次
原点は「危機の動き」日精エー・エス・ビー機械で得たリターン
――なごちょう氏が、これまでに最も成功したと感じた投資経験を教えていただけますか。
日精エー・エス・ビー機械(6284)です。購入したのは、2011年3月15日です。
――その日は、東日本大震災の直後ですね。
はい。まさに直後でした。当時は菅直人政権下で、震災の影響により輪番停電(計画停電)を実施しようとして、結局取りやめるという経緯がありました。「もしも日本全体で輪番停電が実施されたら、企業活動にどんな影響が出るのか?」と考えたときに、万が一停電があっても、海外拠点が多くてリスク分散ができている企業なら耐えられるだろうと判断しました。
そこで目をつけたのが、長野県に本社を構える日精エー・エス・ビー機械でした。配当利回りが高く、PBR(=株価純資産倍率)も1倍を大きく下回る水準で割安感があったのも魅力でしたね。
その後、同社は順調に業績を伸ばし、特に海外でしっかりと利益を出していました。株価は一時的に上下しましたが、2018年には過去20年間の最高値を記録。私はそのタイミングで売却し、結果的に暴落の直前に利確する形となりました。
――株価が10倍になっているとのことですが、いわゆる“テンバガー”ですね。こういった銘柄をどのように発掘し、投資判断に至るのでしょうか?
日精エー・エス・ビー機械のケースでは、「震災」という極めて大きな社会的テーマがありました。とはいえ、重要なのは、「そのテーマがなくても買える会社かどうか」です。
私は、PER(=株価収益率)やPBRといった割安指標に加え、配当利回りや財務体質など、自分の投資方針に合致しているかを重視してチェックしています。テーマはきっかけにすぎず、ベースとしてその企業が持つ価値に注目することが重要だと思います。
制度依存リスク痛感──パラマウントベッドでの苦い経験
――それでは逆に、過去の大きな失敗例についてもお話しいただけますか?
失敗例としては、パラマウントベッドホールディングス(7817)が思い浮かびます。