年間配当500万円超え投資家が見る「下落局面の買い場」の見極め方…トランプ関税で売られた3つのセクター・注目銘柄リスト

本稿で紹介している個別銘柄:トヨタ自動車(7203)、マツダ(7261)、スバル(7270)、ファーストリテイリング(9983)、ホテルチェーンの西武HD(9024)、ゼンショーHD(7550)、吉野家HD(9861)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、千葉銀行(8331)、保険の東京海上ホールディングス(8766)
米国のトランプ大統領の関税発動が世界中で大きな波紋を呼び、株価は急落と急反発を繰り返す不安定な展開を見せている。
一方、日本銀行は政策金利を0.5%に据え置き、2%のインフレ目標に向けた金融政策を維持。投資家たちの間では、成長分野への期待が高まり、市場の動向を注視する。
政治の不透明感と経済の先行きを見極めることが求められる今、注目の銘柄と戦略で相場の荒波を乗り越える方法とは…?
今回は、高配当株と株主優待株運用のエキスパート・ペリカン氏(X:@Pelican_Blog)に、トランプ関税対策や日銀の金融政策などについて話を伺った。みんかぶプレミアム特集「トランプ相場で一人勝ち」第5回。
(2025年4月16日取材)
目次
「損出しクロス」で暴落に強いポートフォリオに
――厳しい相場を乗り切るための具体的な工夫を教えてください。
私が実践しているのは「損出しクロス」。暴落時に含み損が出た銘柄を一旦売却し、同時に同じ銘柄を買い直す手法です。
これによって取得単価を下げ、暴落に強いポートフォリオにします。2020年のコロナショックや年末年始の調整局面など、いろいろな相場変動でこの戦略を活用し、買い付け単価の引き下げに成功してきました。
例えば、1000円で買った銘柄が600円に下落したタイミングで売却し、600円で買い直せば、400円の損失を確定させつつ、税金還付を受け、買い付け単価を600円に下げられます。
その後、株価が700〜800円に回復すれば、含み益がでる状態になります。2024年8月の「令和のブラックマンデー」や直近の関税ショックでも、自動車株を中心に「損出しクロス」をしましたよ。
――具体的な事例を教えてください。
マツダの株式を1000円で保有していたケースを例に挙げます。8月の株価暴落で600円まで下落したタイミングで一旦売却し、すぐに600円で買い直しました。
その結果、400円の損切りをして、税金の還付を受けつつ、平均取得単価を600円に引き下げました。その後、株価が700~800円に回復し、含み益を確保できました。
私の場合、2000〜3000万円規模でこうした取引を行っています。結果として、約400銘柄を保有するポートフォリオのうち、含み損を抱えるのはわずか10銘柄という、暴落に強い構成となっています。
マツダ株暴落時に売却、買い直しで税金還付と含み益確保
――この戦略のメリットとは?
まず含み損が多いと、冷静な判断が難しくなります。「損出しクロス」で含み損を減らし、含み益の状態を維持することで、暴落時に買い増しする余裕が生まれます。
これは投資のマインドセットを整える「バリア」のようなもので、私のポートフォリオは、コロナショックや年末の調整局面で「損出しクロス」を繰り返し、含み損をほぼゼロに近づけています。
仮に、含み益が6000万円から4000万円に減ろうと、含み益がある限り精神的なダメージは軽いです。
含み損が積み重なると、買うべきタイミングで買いをためらったり、売るべきでない場面で売却してしまうリスクが増大します。
一見、単なる視覚的な不安に思えるかもしれませんが、この心理的な影響は投資判断に大きく作用するのです。
――逆に「損出しクロス」を控えたほうがよい場面とは?
自動車株はこうした局面で過度に売られやすい傾向があり、チャンスが多いと感じていますが、じわじわ下落する相場では控えています。
トランプ関税で売られた3つのセクターに注目
――現在の相場で注目すべきセクターやテーマは何でしょうか?