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中国、台湾資本の「爆買い」で皇居が見えるマンションも買い占められる貧乏日本…円安が続く間の駆け込み需要で狙われているアクティビスト銘柄5選

(c) AdobeStock

本稿で紹介している個別銘柄:リオン(6823)、アイダエンジニアリング(6118)、丸一鋼管(5463)、弘電社(1948)、大阪製鐵(5449)

 米トランプ大統領に世界中が振り回される中、個人投資家はどう立ちまわるべきなのか。株式評論家の木戸次郎氏がマクロ・ミクロの両視点から論じる。また、海外アクティビストが虎視眈々と狙っている日本株銘柄リストも紹介していただくーー。みんかぶプレミアム特集「トランプ相場で一人勝ち」第1回。

目次

長らく続いた円安で日本人は貧しくなった…物価高、燃料費高、米不足、生活保護者急増、闇バイトと国民はもう限界

 相変わらず、トランプ大統領の言動に世界中が掻きまわされている。先日、渡米した赤沢経済財政・再生相は「関税」についての日本側の窓口になっているが、24日に日米財務相会談で渡米した加藤財務相は「為替」担当ということで、私がかねてからこのコラムで一貫して訴えてきたように、いよいよ円安是正に動き出すことは濃厚だろう。為替市場では1ドル=140円近辺での揉み合いとなっているが、この流れが加速していけば、130円から120円台までいく可能性もあると考えている。そうなれば、景気が上向き、多くの日本人が海外を闊歩する時代が再来する日も近いかもしれない。

 仮に1ドル=130円まで円高が進めば、年間1000万人訪れるようになったインバウンド観光客は大幅に減って約700万人程度になるであろうが、その分、今度は約300万人の日本人が海外旅行に行けることになるのだ。

 一緒くたに「インバウンド」と言うけれど、最近では東南アジアのインドネシア、フィリピン、ベトナム、タイ、マレーシアなど日本よりもはるかに貧しい発展途上国の旅行者までも「日本はなんでも安い」といって押し寄せているが、それだけ、長らく続いた円安放置が如何に国力を弱めて日本人を貧しくした異常事態であったのかを我々は教訓にすべきだと思うのだ。

 現在の日本は一部の輸出産業を除けば、家計も中小零細企業も特に飲食関係などは深刻な不況状態にある。相次ぐ物価高、燃料費高、減反政策の失策による慢性的米不足、倒産件数や生活保護受給者の急増、子ども食堂、闇バイトやどんどん巧妙化していくオレオレ詐欺やネット詐欺、はたまた押込み強盗など凶悪事件の増加による治安悪化、更に国民を追い詰めるステルス増税など、円安による生活苦で日本人が如何に貧しく成り下がってしまったかを「みんかぶマガジン」のコラムにおいて、ここ一年、ずっとお伝えしてきた。この機会にバックナンバーを見返してほしいと思う。

トランプが円安不況脱却のきっかけを作ってくれたのは事実だ

 その円安不況がいよいよ脱却に向けて動き出しつつある。トランプ氏の言動は滅茶苦茶だが、トランプ氏の強烈な外圧が円安不況脱却のきっかけとなりつつあることだけは紛れもない事実だ。それが結果的に我々にとって大いにプラスとなったわけだ。

 残念ながら事なかれ主義だった政治や日銀の自助努力に任せていたら、更に不況が悪化して負の悪循環に陥っていたであろう。これまでの国会や日銀の動向を見ていると議論を尽くしているというよりは、論評しているだけのように思えてならない。本来、国会でも日銀でも我が国のあるべき姿をタイムリーに追及して、今、何が必要かを判断して、立法したり、金融の進むべき道標となり、国民をリードすべき存在であるにもかかわらず、事なかれ主義の論評合戦が先行していたように思える。それだけを考えても、大いに意味のある外圧だったと思う。

 そもそも、前回、赤沢経済財政・再生相が渡米しての日米交渉はトランプ大統領が突然参加を表明したことで交渉と呼ぶには程遠いものとなってしまった。ただ単にトランプ大統領が赤沢氏に対して一方的な要望と不満を伝えただけだった。いうなれば、ドラえもんのいないのび太がジャイアンと交渉をしたようなものだ。無論、ジャイアンはのび太の言うことなど聞く耳を持っていない。ただただ「お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの」と言わんばかりに自身の要望を高圧的に伝えただけだった。赤沢氏はそれを日本に持ち帰ってきたものの、残念ながら魔法のポケットをもったドラえもんは日本には存在しない。

 ただ、全く主体性のなかった政治が一連のトランプ減税を「国難」と捉えていて、与野党ともに「国難を国民と共に突破しよう」という機運が高まってきているのは事実であろうと思う。

 先般、石破首相が官邸に野党党首を首相官邸に集めたが、この際、与党も野党も挙党態勢で一丸となり、財界や全国民の協力を仰ぎながら、皆が一致団結して乗り切ろうという決意表明に他ならなかったのだと思う。

消費税減税に「賛成」が68%。今夏の参院選の焦点になるか

 現在、4月にNHKが実施した世論調査によると、石破内閣の支持率は、3月の調査より1ポイント下がって35%となっている。一方で不支持は45%とこれだけ見ると低空飛行と言わざるを得ない。

 ところが、自民・公明と野党の一部が加わった連立政権の枠組みを支持するという層については48.3%もいる(産経新聞・FNNネットワーク合同世論調査)。

 要するに石破内閣単体では支持できないが、連立なら自民・公明に+で維新か国民民主が加わった連立内閣なら支持するという層が、半数近くいるという事だろう。

 更に最近では新聞やテレビニュース等で度々取り上げられているが、消費税減税についても「賛成」が68%(産経新聞・FNNネットワーク合同世論調査)いる。また、ANN(朝日ニュースネットワーク世論調査)でも一時的な消費税減税に「賛成」と答えた人は60%に達しているそうだ。国民の間ではそうした機運が確実に高まってきているのは事実であろう。ただ、問題は財務省が消費減税についてその効果を疑問視していて、「絶対反対」の姿勢を頑なに崩さないことだ。

 とは言え、世論調査で見えてくる国民の声について石破首相が大英断して「国民と共に国難を突破」という姿勢を強く打ち出せれば、時限的にでも食品・日用品に限って軽減税率0%実現の可能性はなかり高いと思っている。こうした事が現実のものとなれば、石破首相が一気に人気化して支持率も上がるだろうし、そうなれば、石破降ろしを画策する勢力は政治音痴と言われかねないので、長期政権を築けるまでの大チャンスとなるかもしれない。

 実際に米国、カナダ、オーストラリアをように付加価値税の食料品への軽減税率0%適用を実施している国をはじめ、多くのEU諸国でも食品に対しての軽減税率を適用しているので、日本も財務省との妥協案で諸費税の食品以外を12%くらいに増税して帳尻を合わせてくる可能性は高いと思う。そして、このことが夏の参議院選挙の目玉になるのではないかと考えている。

いまやiPhoneの約80%は中国で生産されている…トランプが中国を無視できるはずがない

 一方、トランプ氏の言動は今後も大統領令の乱発とともに二転三転であろうが、彼がどこまで突っ張れるか、どこまで本気で強行できるか、そしてどこまでが外交ディールを優位に進めるための単なるパフォーマンスかはどんどん見透かされてくるであろう。

 実際にこれ以上、相互関税を強気で突き進むことはもはや無理な話だ。

 何故なら2023年時点で中国は世界のレアアースの99%を供給し、希土メタルに関しても90%を生産しているからだ。

 今や米国の象徴ともいうべきアップルのiPhoneの約80%は中国で生産されているわけだが、レアアースは米国のお家芸ともいえるジェットエンジン、レーザー装置、自動車のヘッドライト、点火プラグの製造に使用される化学物質にも用いられていたり、更には人工知能(AI)のサーバーやスマートフォンの電源供給装置の核心材料としても活用されているので、中国の存在は絶対に無視できるわけがない。

 それが相互関税からのスマホ、PCの除外や90日間延期でとりあえずの急場を凌いだのだろう。実はトランプ自身が90日の延期を決断したことで一番胸を撫で下ろしているのかもしれない。

中国が米国債を売る姿勢を強く示せば、米国債の暴落は回避できない

 その理由はベーシス取引の存在だ。米国債のベーシス取引による総額は約1兆ドルと言われており、5年前と比べてほぼ2倍にも膨らんでいる。

 そのベーシス取引とは簡単に言えば、現物米国債を安く買って、先物米国債で僅かなプレミアムを上乗せして高く売るというものなのだ。

 年金基金や保険会社などの機関投資家が、現金コスト負担が比較的軽い先物で米国国債を大量購入する傾向があるので、僅かながらプレミアムが産まれる。ただ、プレミアムの利幅がごく僅かなので、ヘッジファンドは銀行などからお金を大量に借り入れて高いレバレッジを効かせ、実際の50倍や100倍に増やすことで莫大な利益を得ているのだ。

 この時のリスクは現物債価格が先物価格を下回る。つまり、国債が売られ、金利が上昇することになる。

 先般、中国が相互関税の対抗措置として現物米国債を大量に売却したために、現物価格が先物価格を下回りそうになった事から、ヘッジファンドの先物の売りポジションが巨額に積み上がって1998年のLTCM危機の再来ではないかという声まで聞かれた。

 実際に新型コロナウィルス大流行時にも市場のボラティリティが急上昇したために、現物債が急落してしまい、結果的に米国先物投資しているヘッジファンドが大損失を生んでしまい、証拠金維持率が一定レベルを下回り、証拠金の追加やポジションの決済を求められるマージンコールが発生した事例があった。

 もし、今、こうした事態を招けば、ヘッジファンドは莫大なレバレッジをかけているので、ポジションの巻き戻しを図ろうとしても、更に現物の国債価格が暴落を繰り返すという悪循環に陥り、金融システムそのものがメルトダウンしてしまう危険性が限りなく高まる。

 現在、中国は米国債を9.5%も保有している。もし、これ以上中国が米国債を売る姿勢を強く示せば、米国債の暴落は回避できない。

なぜロシアはトランプ関税の対象から除外されているのか

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この記事の著者
木戸次郎

1965年生まれ。明治大学政治経済学部卒。 地場証券会社を経て投資顧問会社の代表取締役。その後、ベトナム国営バオベト証券バオベトジャパン理事、ベトナム国防省タイソングループ顧問、外資系ファンドの戦略アドバイザーを経て現在はTMI総合法律事務所のマーケティング担当。著書にベストセラーとなった『修羅場のマネー哲学』(幻冬舎)『修羅場の鉄則』(幻冬舎)、『木戸次郎の大化け株』(宝島社)、『株はあと2年でやめなさい』(第二海援隊)、『常勝の株』(講談社)ほか多数。

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