「日本人はメリハリのないお金の使い方が多い」パックンが教える「未来を拓くマネー教育」

お小遣いのあげかた、貯金の重要性、物価高騰、税金、投資・・・。あなたは自分の子どもにどれくらいお金の話をできているだろうか。
「日本ではどことなく、お金の話をタブー視する傾向がある。でも、それってかなり危険だし、非常にもったいない。お金との正しい付き合い方や適切な距離感や扱い方を身につけた人だけが、お金を自分の思い通りに働かせることができるんです」
そう断言するのはパトリック・ハーラン氏だ。『パックンの森のお金塾 こども投資』を上梓し、各地でマネー教育も行うパックン。

自身の子育ての経験や、米国で培ったマネーリテラシーを元に語る「100年安心のマネー教育」とは。連載全3回の第1回。
目次
投資で覚えるべき「72」という数字

日本で投資が一般的になったのはここ15年くらい。それ以前は投資に対して怖いもの、危ないものという認識が広く浸透していました。
経済的な余裕もあって、大学で経済を学んでいたり、日々社会の動向に触れていたりするエリート層が投資をせずに貯金。こうした日本人の行動はアメリカ人の私にとって、非常に不思議でした。
米国にも「経済的な余裕がなくて、投資ができない人」はいます。しかし、経済的な余裕があるのに投資をしないという人はほとんどいません。長い期間をかけて積立投資をすれば、複利の力で老後に大きな金額を受け取ることができるというのが、広く社会で共有されているのです。
投資をするうえで、皆さんにぜひ覚えていただきたい数字があります。それは「72」という数字です。これは複利で運用した際、資産が2倍になるまでの年数を概算で求めるための数字です。
「72 ÷ 利回り(%) = 資産が2倍になる年数」となります。利回り4%なら「72÷4=18年」、利回り8%なら「72÷8=9年」となります。
S&P500の過去30年の平均利回りは約8%程度なので、約10年で元本は2倍に増えます。20年後にはさらに4倍、30年後には8倍と増えていきます。
日本はまだ社会に投資が根付いて20年弱。投資の歴史が浅いために、まだこの複利の本当の力に気づいていない人が多いのです。正しい資産運用を知れば、時間をかけて低リスクでお金を増やしていくことができます。
老後に怯えることも、教育費に頭を悩ませることもかなり減るのではないでしょうか。