「闇バイトに向かう子にしない」パックンが警鐘を鳴らすマネー教育法

皆さんはお金の話を子どもにしていますか。住居にいくらかかっているか、税金をいくら払っているか、塾代はいくらなのか、学費はどれくらいか。
子どものうちは、お金のことなんか気にせずに伸び伸び育ってほしい、自分も大学生くらいまで気にしていなかったという親御さんも多いかもしれません。
しかし、お金の知識は性教育と一緒。先に親から正しい知識を伝えないと、とんでもない世間知らずになったり、間違った知識を吹き込まれたりしてしまう危険性があります。
「日本ではどことなく、お金の話をタブー視する傾向がある。でも、それってかなり危険だし、非常にもったいない。お金との正しい付き合い方や適切な距離感、お金の扱い方を身につけた人だけが、お金に上手く働いてもらうことができるんです」
そう断言するのはパトリック・ハーラン氏だ。『パックンの森のお金塾 こども投資』を上梓し、各地でマネー教育も行うパックン。自身の子育ての経験や、米国で培ったマネーリテラシーを元に語る「100年安心のマネー教育」とは。連載全3回の第2回。
目次
マネー教育は「将来の家計簿作り」が大事

マネー教育において大事なのは、何事も他人事にしないこと。わが家では金銭感覚を育てるために、子どもに「将来の家計簿作り」をさせたことがあるのですが、非常に良い機会になりました。将来、実家を出たらどこに住みたいかを決め、その際の1ヶ月の生活費を概算させるというものです。
「大学生になり東京の1Kに住みたい」のであれば、家賃はいくらくらいか。一人暮らしの電気・ガス・水道はいくらか?食費はどれくらいかを調べて表にしていくのです。
子どもは意外と世間の事がわかっていません。「家賃は100万円くらい?」なんて平気で言います。一度調べるとお小遣いとして渡される1000円がどういう価値なのか、家族旅行に行く際の10万円はどれくらいの価値なのか、将来家族を持つならどれくらい稼げばよいか、といったことがイメージできるようになります。
「ディズニーに行きたい」という子にどう答えるか
目の前のお金を手に入れる大事さを伝えることも、金銭教育では大事です。わが家では子どもが「友達とディズニーに行きたい」と言ってきたら、自分で稼ぎなさいと伝えています。かかる費用が1万円くらいなら東京都の最低賃金がいくらかを調べ、「何時間働いたら1万円稼げるか」を計算させ、その時間の分だけ家庭で手伝いをさせています。
子どもが「時給1000円とすると10時間だね」なんて言ったら「違うよ。君は税金も社会保険料も払わないのか。手取りで1万円ゲットするには何時間働くのか調べてごらん」と聞くようにしています。
自分で稼いだ1万円は、何もせずに手に入れた1万円より大切に使うはずです。自分で稼ぐ経験は子どものマネー教育にとって非常に大事です。
アメリカでは「子どもが庭でレモネードを作って売る」というマネー教育があります。レモンや砂糖、炭酸水を買ってきて近所の人に売るのです。仕入れや販売、利益などビジネスの基礎を学ぶことができるため、アメリカでは広く行われています。
日本でも「家の前の雪かきをやります」「マンションの自転車の空気入れを1ヶ月契約で請け負います」といった形で子どもにちょっとしたビジネスをやらせても良いでしょう。