パックンが不思議がる「日本人が自己投資しない理由」と「子どものNISAに100万円を入れないワケ」

講演会などで多くの方とお話すると、教育費の悩みを持つ方は非常に多いです。どこまで切り詰めたら良いのかわからない、老後資金も併せて貯める必要がある、教育費がいくら掛かるか不安といった相談を数多く受けます
こうした悩みの多くは、実は投資の力で解決できます。特に、親が子ども名義で資産運用を行う「子どもNISA」は、将来の教育資金づくりにもなり、金融リテラシー教育の一歩として注目されています。
こうした制度の恩恵を活かせば、子どもが大人になった時、すでに“運用された資産”が手元にあるという状況も作れます。時間を味方にできるのが、子どもの強みでもあります。
「日本ではどことなく、お金の話をタブー視する傾向がある。でも、それってかなり危険だし、非常にもったいない。お金との正しい付き合い方や適切な距離感、お金の扱い方を身につけた人だけが、お金に上手く働いてもらうことができるんです」
そう断言するのはパトリック・ハーラン氏だ。『パックンの森のお金塾 こども投資』を上梓し、各地でマネー教育も行うパックン。自身の子育ての経験や、米国で培ったマネーリテラシーを元に語る「100年安心のマネー教育」とは。連載全3回の第3回。
目次
「中長期で積み立てることの重要性」は数字が証明

ここで思い出してほしいのが、第1回でお伝えした魔法の数式です。
「72 ÷ 利回り(%) = 資産が2倍になる年数」
S&P500の過去の平均利回りは8%です。ですから、9年で倍になる計算です。この恩恵を最も受けられるのは運用できる期間が長い若者、もっと言えば生まれたばかりの子どもです。
今からお子さんのNISA口座に100万円入金し、S&P500やオールカントリー全世界株などで運用したとすると、順調にいけば下記のようなペースで増えていきます。
0歳:100万円
9歳:200万円 →語学留学に行ける
18歳:400万円 →大学の学費が払える
27歳:800万円 →家の頭金には十分
36歳:1600万円
45際:3200万円
54歳:6400万円
63歳:1億2800万円 →1億円超え
72歳:2億5600万円 →老後も安心かも
81歳:5億1200万円
もちろん、これは理論上の数字です。リーマンショックのような出来事があれば、途中で大きく値下がりすることもありえます。しかし、全体を通してみれば大きく増えることは間違いありません。
途中で売り買いする必要はありません。毎年NISA口座を定期的に親子でチェックしてください。「中長期で積み立てることの重要性」は数字が証明してくれます。
大学受験、留学などのタイミングで子どもが「S&Pではなく自分の未来に投資しよう」と思えるような使い道が見つかれば使っても構いません。お金はあくまで人生の選択肢を広げるためのもの。
過度に老後や未来に不安をいだいてお金を使わずにいるのは、機会損失になります。