優待株・高配当株投資家が教える「優待銘柄のクセ」を見分ける投資術

本稿で紹介している個別銘柄:ホッカンホールディングス(5902)、NATTY SWANKY ホールディングス(7674)、NTT(9432)
トランプ関税や為替変動で株価が乱高下し、市場の先行きが読めず投資をためらう人も多いかもしれない。
そんな中、「暴落は『バーゲンセール』!ワクワクしながら投資しています」と語るのは、優待株と高配当株をメインに投資する「まーくん@株主優待」(@maakun1988)氏だ。
複雑な経済環境下で、どのように冷静な判断を貫き、投資を楽しみながら資産を増やしているのか。連載 「暴落にも動じない。強メンタル投資家のメソッド」 第2回は、まーくん氏に銘柄選定の極意と売買の基準について話を伺った。全3回インタビュー、2回目。
(2025年6月2日取材)
目次
総合利回り4%超・PBR0.5倍の優良株をガチホ
ーーまーくんさんが銘柄選定で重視しているポイントは何ですか?
銘柄選びでは、株主優待と高配当を軸に、ファンダメンタルズとバリュエーションを重視しています。スクリーニング機能を活用し、以下の基準で銘柄を選びます。
・総合利回り4%以上、配当性向30%程度
以前は総合利回り3%程度でスクリーニングしていましたが、最近は株主還元の流れが強まっているため、株主優待と配当金の総合利回りを4%以上に設定しています。
配当性向は30%程度を目安にし、株主還元に積極的で持続可能な企業を選びます。具体的には、配当利回り2.5%と優待利回り1.5%で総合4%以上を確保。決算資料や適時開示を確認し、増配余力や業績の安定性をチェックしています。
・将来の成長と増配余力にも注目
現在の利回りだけでなく、3〜5年後の増配や株価上昇の可能性がある銘柄にも注目しています。
具体例を挙げると、2〜3年前に容器製造、飲料の充填、機械製作を手掛けるホッカンホールディングス(5902)に投資した際、PBR0.5倍と割安で、3年後に100円配当を目指す方針が発表されていました。業績の見通しも安定していて、今では100円配当が実現しそうな段階に近づいています。
このように増配を続ける企業は株価も連動して上昇する傾向があるため、インカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙える銘柄を優先して選んでいます。
時価総額の大きい企業は短期投資には不向き
ーー次に、銘柄を購入するときの基準について伺います。
人によっては中期投資と感じるかもしれませんが、銘柄を買って3〜4カ月後に値上がり益を狙って売却することもあります。優待権利月に向けて株価が上がり、権利落ち後に下がる傾向のある銘柄を狙っています。
例えば、餃子居酒屋「肉汁餃子製作所 ダンダダン酒場」を運営するNATTY SWANKY ホールディングス(7674)は、出来高の少ない中小型株で、優待を狙った買い需要が株価に影響しやすく、値動きがわかりやすいです。
実際、取材時点では出来高が1日約3000株とかなり少なく、権利付最終日が近づくと株価が上がりやすい傾向があるので、値動きの癖をつかみやすいんです。
一方、NTT(9432)のような時価総額の大きい企業は、優待狙いの買いが株価にあまり影響しないため、短期投資には不向きです。過去のチャートを分析して癖を見極め、勝率の高い銘柄を選ぶようにしていますね。
また、PBRやPERも参考にし、割安感のある銘柄を優先します。PBR1倍以下やPER10〜15倍程度の企業は、市場が過小評価している可能性が高いと判断します。
そのほか、業績の安定性や成長性を確認するため、売上高や営業利益の推移、ROEなどもチェックしていますね。