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チャイナタウン化する湾岸でタワマンババ抜きに人生を賭けるエリートサラリーマンの厳しすぎる実情…タワマン購入した40歳銀行員「ユニクロとくら寿司にしか行けない」

(c) AdobeStock

 都心のタワマン価格の上昇は止まるところを知らない。そんな中、不動産事情に詳しいフリーライターの汐留太郎氏は「勝どきなどの湾岸エリアは、さながら『チャイナタウン』と化しつつあります」と指摘するーー。みんかぶプレミアム特集「格差社会サバイバル」第2回。

目次

勝どきなどの湾岸タワマンは中国人の間で人気が高い…湾岸が「チャイナタウン」と化しつつある

 6月下旬、取材で勝どきのタワーマンションを訪れると、ロビーでは3人の子どもたちが走り回っていた。ファミリータイプの部屋であれば軽く1億円を超えるような高級タワマンといえども、子どもたちの様子は郊外のイオンモールと変わらない。微笑ましい光景だが、ただ一つ、郊外のイオンとは違うことがあった。子どもたちが皆、中国語を喋っていたのだ。

「ここらへんじゃ珍しくないですよ」。案内してくれた不動産仲介業者は話す。海に近く、眺望が抜けている湾岸タワマンは風水を好む中国人の間で人気が高い。そのため、このエリアで中国語は準公用語になりつつあるとのことだった。実際、その後に案内されたラウンジなどの共用部でも、中国語を耳にすることは多かった。中国人は中国系の仲介業者を使うことが多いため正確な実態は不明だが、このマンションの場合、1〜2割の住戸は中国人が所有しているのではないかという。湾岸がチャイナタウン化しつつあることは間違いないようだ。

ついに外国人による不動産購入の制限が政局の争点にも浮上…それでも中国人による不動産購入を排除するのは難しい理由

 7月20日投開票の参議院選挙で急に大きなテーマとして浮上したのが外国人による不動産購入の制限だ。「日本人ファースト」を掲げ台風の目となっている参政党は「外国人による土地・不動産購入については厳格な制限を設けるべき」と掲げ、国民民主党は「外国人による居住目的ではない投機目的の不動産取得に対し『空室税』の導入を求める」としている。自民党も重い腰を上げ、「外国人を含めた投機目的の不動産保有の実態を把握する」としている。その最前線となっているのがまさに湾岸のタワマンだ。

 実際、湾岸周辺のマンションで、中国人によるマナーは大きな問題となっている。ゴミステーションでゴミを分別せずに捨てたり、散歩中の犬の糞をそのまま放置したり、敷地内で違法駐車が横行していたり、有料の違法民泊と思わしきスーツケースを転がす人たちが徘徊したりと様々な問題が発生しており、その都度、警備員や管理組合などが対応に追われているという。「今は表立って摩擦は起きていないが、かなり危ういバランスの上に成り立っている」と前述の仲介業者は語る。6月の都議選や今回の参院選でも、豊洲駅などで保守党や参政党など排外主義的な政策を掲げる政党が演説を行っており、それなりに聴衆を集めていた。

 しかし、現実的に中国人による不動産購入を排除することは難しいだろう。彼らの大多数は居住目的の実需だからだ。一部住戸は賃貸に出るなど投資の側面もあるが、投機目的との区別は不可能だ。そもそも、湾岸エリアのタワマン相場は中国人の需要が押し上げている側面も大きい。生活習慣や文化の違いに眉をひそめている日本人住民もまた、知らないうちにチャイナマネーの恩恵を受けているのだ。

「1億5000万円の壁」が不動産業界で意識されるようになってきた…それでも中国人富裕層はタワマン高層階を余裕で購入

 東京カンテイが6月に発表した最新のデータによると、勝どき駅のファミリーマンションの平均坪単価は765万円。70平方メートルのファミリータイプでは、1億6000万円を超える計算だ。10年前であれば3LDKの部屋が7000万円程度で取引されていたことを思うと、あまりにも急激な相場上昇だ。

 急激な相場上昇は流動性の低下という副作用ももたらす。近年、不動産業界では、1億5000万円の壁が意識されるようになっている。世帯年収2000万円のパワーカップルが住宅ローンを組めるラインがこのあたりとなっているためで、このラインを超えると、親からの贈与か、頭金や諸費用を含め2000万円以上を用意することが条件となってくるため、動きが鈍くなるのだ。

 こうした中、1億5000万円の壁をものともせずに買い手となっているのは海外からのマネーだ。特に近年、習近平国家主席による強権化や中国経済の減速を機に日本にやってきた中国人富裕層の多くはキャッシュで物件を購入する。ローンを組まないと家を買えない日本人のサラリーマンとは資金力が段違いで、「経営者や開業医を除けば、そもそも勝負にならない」(仲介業者)。冒頭のマンションの場合、価格が高騰している高層階の部屋を新たに購入するのは中国人が多いという。

いま、1億5000万円を超えるタワマンを実需で購入している層は、どんな人たちなのか

 不動産取引はババ抜きに例えられることが多い。こと湾岸エリアにおいては現在、新たにカードを引いているのは中国人が多く、そこで利益を得ているのは昔から部屋を持っている日本人だ。子育てが一段落したからと広い部屋を引き払った日本人が1億円を超える利益を手にしたという例も珍しくないという。

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