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今さらタワマンを購入するのは“愚の骨頂”なのか…1億円以上も安く「都心の好立地」に住むための究極の方法を不動産事業プロデューサーが暴露

 都心マンション価格は天井知らずの高騰を続け、溢れる情報と「バブル崩壊」の警鐘に、多くの住宅購入検討者が迷いを深めている。こうした状況に振り回されないための“基礎体力”こそ重要だと語るのは、不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏だ。

 土地の本質的価値を読み解く方法から、コロナ禍以降のマンション価格高騰のカラクリ、将来的な不動産価値の見極め方、さらには首都圏の穴場エリアまで、同氏に縦横無尽に論じていただいた。短期連載全4回の第3回。(取材日:8月12日)

目次

高騰する新築を横目に、賢い人が「築古」を選ぶ理由

――その「家を買いたい」と思っている若い世代ですが、現実には都心新築マンションは高騰しすぎて手が出せない状況です。そうした中で、築年数の古い「ヴィンテージマンション」をリノベーションして住む、というスタイルが注目されています。この動きについてはどう思われますか?

 非常に良い傾向だと思っています。都内のマンションの歴史は約60年ですから、最も古いものでも築60数年です。鉄筋コンクリート造の建物は、適切なメンテナンスをすれば100年、200年持つと言われています。

1億円以上も安く“都心の好立地”に住むための究極のメソッド

 築30年、40年、あるいはそれ以上の、いわゆる「築古」マンションは、都心3区や5区といった好立地であっても、探せば意外と安い価格で見つけることができます。今の家族構成は、夫婦共働きで子どもがいないか1人という世帯が多いですから、昔のように広い4LDKは必要ありません。50〜60平米台のLDKで十分という方も多いでしょう。

 そういった方々が、夫婦のペアローンで無理をして湾岸のタワーマンションを買うよりも、都心の築古マンションを選ぶというのは、非常に賢明な選択です。たとえば、中央区あたりでも築40〜50年の物件なら、4,000〜5,000万円台で購入できたりします。それに500〜1,000万円かけて内装をフルリノベーションすれば、ほぼ新築同様のピカピカの住空間が手に入る。1億5,000万円のタワマンを買うよりも、はるかに少ない資金負担で、同じ、あるいはそれ以上の好立地に住むことができるのです。

“旧耐震だから危険”は思考停止 プロが断言するワケ

――ただ、古い物件となると、耐震性や、将来売却できるのかという流動性が気になります。

 まず耐震性についてですが、耐震基準が改正されたのは昭和56年(1981年)です。それ以前の「旧耐震」の建物が、地震が来たら必ず倒壊するのかというと、そんなことはありません。

 旧耐震の建物で注意すべきポイントは2つあります。

 1つ目は「1階がピロティになっていないか」。1階部分が駐車場などで壁がない構造の建物は、阪神・淡路大震災でも被害が大きかったことが分かっています。

 2つ目は「立地」。これは新耐震の建物でも同じですが、地盤の弱い湾岸エリアなどでは、建物自体は大丈夫でも、土地が液状化するリスクがあります。だからその建物が建っている土地が、武蔵野台地のような強固な地盤の上にあるかどうかを見るのです。

 旧耐震だから危険、と短絡的に考えるのではなく、この2つのポイントをチェックすれば、リスクはかなり低減できます。

 流動性に関しても、心配は無用です。現に、今、築45年、50年のマンションがマーケットで売買されているわけですから。なぜ売れるのかというと、それは、ひとえに「立地」が良いからです。基本的に、古いマンションほど良い場所に建っています。駅に近く、利便性が高く、地盤も安定している。そうした物件であれば、将来売却できないということはまず考えられません。

なぜ不動産投資は“新しい物件”より“古い物件”のほうが儲かるのか

――投資対象として見た場合はいかがでしょうか。

 投資対象としても非常に魅力的です。まず、取得価格が安い。一方で、賃料は立地のマーケット相場で決まるので、新築に比べて極端に安くなるわけではありません。結果として、投資利回りは新築マンションよりもはるかに高くなります。

 たとえば、今話題のタワーマンションの利回りは2%台半ばほどですが、私が所有している築40年ほどの都心の物件は、単純計算で6~7%の利回りが出ています。収益性の観点からも、ヴィンテージマンションは非常に優れた投資対象だと言えるでしょう。

駅前再開発が“富裕層のためのタワマン建設”に変貌してしまった残念な現実

――新築マンションに話を戻しますと、価格高騰の一因として建築費の上昇がありますが、それでも都内の駅前などでは再開発が盛んに行われています。しかし、そこで供給されるのは、やはり一般の都民には買えないような高額マンションばかりです。これは、再開発の本来の趣旨から外れているのではないでしょうか。

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この記事の著者
牧野知弘

不動産事業プロデューサー。東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現・みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て三井不動産勤務。J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て、2015年にオラガ総研株式会社の代表取締役に就任。ホテルなどの不動産事業プロデュースを展開している。著書に『なぜマンションは高騰しているのか』(祥伝社新書)など多数。

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