「高市首相への期待はいつまで続くか?」AIバブル崩壊や地政学リスクなどにも注意せよ!トレーダー議員が指摘

米国トランプ大統領の関税政策で金融市場が混乱したが、交渉の進展やFRBの利下げ期待、AI・ハイテク企業の業績拡大の期待などによって、米国を中心に株式相場が上昇している。
今回も、トレーダー議員として活動している萩原圭一氏(@hagi_k1)にインタビュー。今後の金融市場の見通しについて話を伺った。
目次
FRBと日銀の動きに注意
ーーFXトレーダーとして、現在の為替相場をどのように捉えていますか?
為替相場は基本的に両国の金利差で決まります。
米国の長期金利は4%くらいで、欧州や日本より高いので、米ドルが強くなっています。今後、FRBは利下げ、日銀は利上げの方向にあるので、金利差は縮小していく、つまり円高ドル安に向かっていくと考えられます。
FRBは9月・10月に0.25%ずつ連続で利下げしましたが、トランプ関税によるインフレ再燃を恐れていて、あまり早急な利下げはしたくないはずです。一方、米国内の雇用情勢が悪化してきているので、さらなる利下げが必要なのは間違いない。FRBはこれらの状況を見極めたうえで、利下げのペースを調整するでしょう。
一方、日銀は年内の利上げを見送り、2026年前半に利上げするかもしれません。日銀(植田和男総裁)は政府・高市早苗首相にも配慮しつつ、急激な変化を避けるでしょう。
ーー為替相場が金利差のとおりに動かないこともあるのでしょうか?
そうですね。例えば、金利差が縮小しても円高ドル安が進まない場合があります。それは、日本政府の財政悪化による「悪い金利上昇」の場合です。つまり日銀の金融政策だけでなく、政府の財政政策も把握しておかなければなりません。
AIバブル崩壊や地政学リスクなどにも注意
ーーその他の要因について、どのようにお考えですか?
あとは世界情勢ですね。今年春ごろはトランプ関税で金融市場が荒れましたが、交渉が進展し、一服した感があります。トランプ大統領も関税を交渉のカードとして使っているし、減税の財源として補う目的もあるので、日本が合意した15%というのが妥当なライン。これ以上ひどくなる可能性は低いでしょう。
また、現在はエヌビディアなどのAI関連株が先導して相場全体を押し上げて、AIバブルとなりつつあります。その期待が薄らいだとき、世界の金融市場全体にショックが起きる可能性があります。
戦争・政争などの地政学リスクにも注意が必要です。ウクライナや中東の情勢など、国際的な緊張関係がさらに高まるかもしれません。そうなると金融市場が混乱し、株式相場は下落、為替相場は円高ドル安に振れます。
ーーその理由は?
金融市場は、現実の経済状況よりも、市場参加者の心理が大きく影響します。地政学リスクが大きくなると、皆が不安になり投資意欲が低下し、株式などのリスク資産から、現金や金などの安全資産に移すからです。
私はロシアとウクライナの停戦協議がどうなるかに注目しています。武力による領土割譲は国家の主権を侵害し、国際秩序を揺るがします。企業が安心して経済活動できる環境でなければ、積極的に設備投資などができず、世界経済や金融市場は委縮してしまうでしょう。