初心者こそ“素直な株”を選ぶべし!重要なのは「銘柄選びよりエントリーと利益確定」

投資初心者がまず悩む「どの銘柄を買うべきか」。伝説の株職人とも呼ばれた相場師朗氏は、「出来高と流動性が大きく、素直な値動きをする株」だと話す。その根拠と、「大化けしそうな低位株」を選ぶべきではない理由、そして銘柄選びよりも重要だと話すエントリーと利益確定について、相場氏が解説する。全4回中の2回目。
※本稿は相場師朗著『株チャート最強の先読み投資 上昇も下落も「想定外」もすべてを利益に変える!』(バトン社)から抜粋・再構成したものです。
第1回:“伝説の株職人”が教える「なぜ株価は上下するのか」人の心を読むテクニック
第3回:チャートを読み解けば相場の“本当の姿”が見えてくる!チャートを理解するための4つのテーマとは
第4回:「株価はいつ上がり、いつ下がるのか」そんな疑問もすべてチャートが教えてくれる!伝説の株職人が伝えたい、チャートの基本
目次
まずは素直な値動きの株で練習しよう
トレードを始めたばかりの初心者が最も陥りやすいのは、銘柄選定がわからずに闇雲にトレードしてしまうことです。市場には数千もの銘柄が存在し、そのすべてを見渡そうとすると情報に振り回され、結局「上がりそうに見える株」を感覚的に選んでしまいがちです。
しかし、株価は買い手と売り手の思惑が交錯して形成されるため、一見割安に見えても下がり続けることがあります。まず大切なのは「自分で値動きが理解できる銘柄」に絞ることです。
銘柄選びで意識したいのは、「値動きが素直で読みやすいか」という点です。出来高が少なく値動きの荒い銘柄は、チャートの「型」を学ぶ段階では不向きです。大きなトレンドを描きやすい主力株や、日経平均に連動する ETF(上場投資信託)などから始めることで、心理的にも落ち着いた練習ができます。
また、人気化して急騰した銘柄やテーマ株は初心者にとって魅力的に映りますが、急落リスクが高いため避けたほうが無難です。
さらに重要なのは、銘柄選びそのものより「エントリーと利益確定の技術」に重点を置く姿勢です。実際に成果を分けるのは、どの銘柄を買うかではなく「いつ売買するか」です。
極端に言えば、安定したトレード技術を持てば、選ぶ銘柄はある程度限定的でも十分利益を上げられるのです。
銘柄選びの方法がわからずに、「上がりそうだから買う」と直感的な投資を繰り返すと、結局は損を重ねてしまいます。むしろ、数銘柄に絞って徹底的に観察し、その値動きの癖をつかむことが効果的です。
業績が良いからといって株価が上がるわけではない
株価は一見ランダムに動いているようで、実際には買い手と売りの心理戦が繰り返される構造を持っています。
株式投資を始めたばかりの方がよく陥る誤解に「業績が良ければ株価も必ず上がる」という考えがあります。しかし実際の相場では、業績と株価の値動きが一致しないケースは少なくありません。むしろ、多くの銘柄で「好業績なのに株価が下がる」「赤字でも株価が急騰する」といった現象が日常的に見られます。
その理由は、株価が「企業の現在の業績」ではなく「将来への期待値」で動いているからです。
例えば、ある企業が好決算を発表しても、すでに市場参加者がその好材料を織り込み済みであれば、株価はむしろ下落することもあります。逆に、赤字を計上していても、新製品や新市場への期待が高まれば、株価は先回りして上昇するのです。
<よくある誤解と失敗例>

初心者が特に注意すべきなのは、決算内容やニュースに一喜一憂して短期的に飛びつく行動です。こうした行動は往々にして「天井で買い、底で売る」結果を招きやすいのです。
結局のところ、業績と値動きの関係を単純に結び付けて考えるのは危険です。大切なのは「市場がすでにどの程度織り込んでいるか」「今後の期待や不安がどちらに傾いているか」を見極めることです。
そのためには、チャートの動きから値動きのクセとそれを操る投資家心理を読み解く視点が欠かせません。
まず選ぶべきは「出来高と時価総額が大きい銘柄」
株式市場には数千銘柄が存在し、どれを取引の対象にすべきか迷う投資家は多いでしょう。そこで重要になるのが「相場流に適した銘柄」の選び方です。相場流では、特に出来高が多く、時価総額が大きい銘柄を中心に扱うことを推奨します。
その理由は大きく3つあります。
①出来高が多い銘柄は「流動性」が高い
出来高とは、ある期間にどれだけ株式が売買されたかを示す数値です。出来高が多い銘柄は、買いたいときにすぐ買え、売りたいときにすぐ売れるという特徴があります。つまり、投資家が不利な価格で取引を強いられるリスクが少ないのです。逆に出来高の少ない銘柄では、希望する価格で約定できず、急落時に逃げ遅れる危険があります。
相場流のトレードでは「タイミング」が非常に重要です。チャートでシグナルを確認しても、出来高が少なければ思うように売買できません。したがって、日々の売買代金が多い、いわゆる「主力銘柄」(東証プライム市場上場銘柄、「日経225」採用銘柄、「JPX 日経インデックス400」採用銘柄など)を選ぶことが、スムーズなトレードの前提条件になります。
②時価総額が大きい銘柄は「安定感」がある
次に注目すべきは、時価総額です。時価総額とは「株価×発行済株式数」で求められ、企業規模や市場における存在感を示します。時価総額の大きい企業は、一般的に業績や資金基盤が安定しており、急激な値動きが少なく、投資家が安心して取引できる傾向があります。
「大企業だから絶対に安全」というわけではありませんが、少なくとも仕手筋による急騰・急落といった不自然な値動きに巻き込まれる可能性は低くなります。相場流が重視する「パターンの再現性」を考える上でも、時価総額の大きな銘柄は信頼できる対象となるのです。
③チャートの「型」が出やすい
出来高が多く、時価総額も大きい銘柄は、市場参加者が多く集まりやすいため、需給バランスに基づく典型的なチャートパターンが現れやすくなります。
逆に、出来高が少なく時価総額の小さい銘柄は、わずかな資金の流入出で株価が乱高下し、チャートに「ノイズ」が多く、正確な判断を難しくします。相場流では「チャートの型」に沿った売買を繰り返すことが利益の源泉です。つまり、型がきれいに出やすい銘柄こそが、トレードの土俵にふさわしいということになります。
初心者が陥りやすいのは、「低位株だから上がりそう」「株価が安いから安心」という理由で小型株を選んでしまうことです。確かに短期的に大きく上がることもありますが、その半面、予測不能な急落で資金を失うリスクが極めて高いのです。相場流が目指すのは、博打のような一攫千金ではなく、再現性あるトレードの積み重ねです。そのためにも、主力銘柄を選ぶことが大前提になります。
「出来高が多く、時価総額が高い」銘柄は、流動性に優れ、値動きが安定し、チャートの型も鮮明に現れやすいという特徴があります。トレードにおける成功の第一歩は、正しい土俵に立つことです。だからこそ、初心者はまず主力銘柄を中心にトレードを始め、経験を積むことが重要なのです。