チャートを読み解けば相場の“本当の姿”が見えてくる!チャートを理解するための4つのテーマとは

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 多くの投資家が目にするチャート。しかし、そのチャートの本質を、一体どれくらい理解しているだろうか?伝説の株職人とも呼ばれた相場師朗氏は、「チャートはただの線ではない」と話す。投資をするうえでチャートをどう読み解くべきなのか、相場氏がレクチャーする。全4回中の3回目。

※本稿は相場師朗著『株チャート最強の先読み投資 上昇も下落も「想定外」もすべてを利益に変える!』(バトン社)から抜粋・再構成したものです。

第1回:“伝説の株職人”が教える「なぜ株価は上下するのか」人の心を読むテクニック

第2回:初心者こそ“素直な株”を選ぶべし!重要なのは「銘柄選びよりエントリーと利益確定」

第4回:「株価はいつ上がり、いつ下がるのか」そんな疑問もすべてチャートが教えてくれる!伝説の株職人が伝えたい、チャートの基本

目次

チャートには4つのテーマがある

 株価チャートを読み解くとき、多くの初心者は「株価が上がったか、下がったか」だけに目を向けてしまいがちです。しかし、チャートはただの線ではなく、縦軸と横軸という2つの軸によって成り立っている「価格と時間のグラフ」です。この2つの軸を正しく意識することで、相場の本当の姿が見えてきます。

ここでは、

①チャートの基本構造
②縦軸の節目と「しこり」
③横軸の日柄
④縦軸と横軸の組み合わせ

という4つのテーマについて整理して説明していきます。

①チャートには縦軸と横軸がある

 まず基本から確認しましょう。チャートは縦軸に「価格」、横軸に「時間」をとったグラフです。縦軸の価格は株価の上げ下げを示し、横軸の時間は日々の経過を記録しています。言い換えれば、チャートは「価格と時間のストーリー」を記録したものです。株価は一瞬で大きく動くこともあれば、ゆっくりと方向性を変えていくこともあります。価格の動きだけを見ると乱雑に感じますが、そこに時間という横軸を重ねることで、一定のリズムや流れを見つけられるようになります。

 チャート分析の第一歩は、この「価格」と「時間」の両方を意識することなのです。

②縦軸は価格を表す:節目としこり

 縦軸で最も重要なのは、価格の「節目」です。節目とは、株価が上がったり下がったりする動きの中で、一度止まりやすいポイントのことです。過去に高値をつけて何度も跳ね返された場所は「抵抗線」となり、逆に過去に下げ止まった場所は「支持線」となります。

 なぜ節目が大事なのか。それは、多くの投資家がその価格帯を意識して売買を行うからです。株価が抵抗線に近づくと「また跳ね返されるかもしれない」と考える人が増え、売りが出やすくなります。逆に支持線に近づくと「ここからなら反発するだろう」と買い注文が増えます。結果として、節目が相場の転換点になりやすいのです。

 さらに相場では、特定の価格帯に売買が溜まった状態が生じます。この状態を相場流では「しこり」と呼んでいます。

 過去にその水準で買った投資家が「ようやく戻ったから売りたいと考えるため、株価が再びその位置に達すると上値が重くなります。

 抵抗線や支持線が強く働く背景には、「しこり」が存在するのです。つまり、縦軸の価格は単なる数値の上下ではなく、多くの投資家の心理や行動が集まる場所であり、その心理が節目やしこりとして現れているのです。

③横軸は時間経過を表す:日柄の重要性

 横軸は時間の流れを示します。ここで大切なのは「日柄」という考え方です。日柄とは、トレンドが続く期間や、ローソク足の本数として現れる周期性を意味します。相場には一定のリズムがあります。上昇や下落のトレンドは無限に続くことはなく、時間の経過とともに転換点を迎えます。

 多くのトレンドは「3カ月」や「6カ月」といった区切りで流れが変わりやすいとされています。これは投資家心理や資金の循環が時間をかけて変化するためです。さらに、小さなトレンドにもリズムがあります。例えば、9日から 15 日程度で一度方向性が変わることが多いとされます。これはローソク足の本数を数えることで確認できます。

 トレンドの強弱や寿命を測るときに、単に価格の動きだけを見るのではなく、「ここまでで何日続いたのか」「そろそろ日柄的に転換が近いのではないか」と意識することが重要なのです。

 この日柄の考え方を知っていると、むやみにエントリーせず、タイミングを計って仕掛けることができるようになります。

④縦軸と横軸の組み合わせが相場を読む鍵

 最後に、縦軸と横軸を組み合わせて考えることの重要性です。同じ価格帯でも、時間の経過によって意味は大きく変わるからです。

 例えば、株価が抵抗線に近づいたとします。もしトレンドが始まったばかりの日柄であれば、勢いが強ければ抵抗線を突破してさらに上昇する可能性があります。逆に、すでに長期間上昇を続けている日柄の終盤であれば、同じ抵抗線に当たっても反落する可能性が高いのです。

 支持線についても同様です。短期間で一度接触しただけの支持線なら反発しやすいですが、長い時間をかけて何度も“試す”ように接触した支持線の場合はあまり機能せず、やがて割り込まれることも起こります。

 このように、「価格」と「時間」は相互に影響し合っています。縦軸の節目と横軸の日柄を合わせて読むことで、相場の本当の姿に近づくことができるのです。

 株価チャートは「縦軸=価格」「横軸=時間」のグラフです。縦軸では節目やしこりが重要であり、それが支持線や抵抗線として相場を左右します。横軸では日柄が重要であり、トレンドの寿命や転換点を測る手がかりになります。

トレンド転換の節目となる「下半身」

 トレンドが上昇へ転じる初動に出現するのが「下半身」です。インパクトのあるネーミングで一度聞いたら、忘れられないと思います。

 下半身とは5日線が横ばいか、上向きに転じたとき、それまで5日線の下にあったローソク足が陽線で実体の半分以上、5日線の上に突き抜ける形状です。しかし、5日線が下向きのときに出現しても、下落の勢いが強く上昇に転じないこともあるので、この点は要注意です。

 下落にトレンド転換するときに出現するのが「逆下半身」です。その形状は5日線が横ばいか、下向きに転じたとき、それまで5日線の上にあったローソク足が陰線で実体の半分以上が5日線の下に抜けるというものです。

 特に逆下半身は、5日線、10日線が揃って右肩下がりに転じたときに出現すると、下落トレンドに転換する可能性が高いと言えます(図①)。

 下半身については5日線と10日線を同時に超えたものを「W下半身」、逆下半身では5日線と10日線を同時に下に抜けたのを「W逆下半身」と言い、トレンド転換の強いシグナルと判断できます。

 このような性質から、トレードの基本は、

・「買い」なら下半身から入って逆下半身で手じまい
・「売り」なら逆下半身から入って下半身で手じまい

 となります。

 しかし、これはあくまでも基本であり、それですべてがうまくいくとは限りません。予測の精度を高めるためには移動平均線の向きや動きなどさまざまな要素を組み合わせて判断していくことが重要です。

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この記事の著者
相場師朗

現役プロトレーダー。株歴40年を超える株職人。"株匠"を目指している。20歳で株式投資を始めて20年間、「日本郵船」1銘柄のみの売買に集中し、莫大な利益を得る。その後、チャートと建玉の研究に没頭する。日本株のほかに、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、ゴールド、原油、コーン、FXなどの市場でも利益を生み出す。自身が研究を重ねた投資法を発表する場として、投資塾「株塾」を主宰する。

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