日経平均5万円が“熱狂のピーク”・・・年間配当800万円投資家が警鐘を鳴らす「AI×円安バブル」の裏で進む不穏なシナリオ

2025年、日経平均株価は史上最高値の更新を続け、市場は熱狂に包まれている。
AIブームを背景とした半導体株の上昇、新NISAによる個人投資家の資金流入、そして高市早苗新政権への期待感・・・。これらが一体となり、相場を力強く押し上げている状況だ。
しかし、あまりに急ピッチな上昇は、多くの投資家に「この株高はいつまで続くのか」「これはバブルではないのか」といった不安も抱かせている。
このような市場環境を、第一線で活躍する投資家はどう見ているのか。
今回は、高配当株と株主優待株投資のエキスパートであるペリカン氏(@Pelican_Blog)に、現在の相場観と現状を乗り切るための投資術について話を伺った。
目次
今がピーク?リーマン・ショック前と似た兆候・・・
ーー単刀直入に伺います。今の株価上昇を、どう見ていますか。
率直に言えば、株式だけでなく、仮想通貨や金(ゴールド)など、あらゆる資産が“バブル的な状態”にあると感じています。
特にAI関連銘柄の上昇は顕著で、もはや事業計画や将来性といった合理的な説明だけでは説明しきれないほど買われています。
雰囲気としては、かつてのITバブル期を思わせるような熱気がありますね。当時も「将来の夢」や「期待」が株価を押し上げましたが、今のAI相場にもそれと通じる部分を感じます。
もちろん、今回はAIの実用化や企業の収益構造が進んでいる分、まったく同じではありません。それでも市場全体がかなり高い水準にあるという感覚はあります。
ーーその上昇の背景には、何があると分析していますか。
根底にあるのは、コロナ禍以降に米国が行った大規模な財政出動、いわゆる「カネのばらまき」です。それによって生じた過剰な資金、つまり「金余り」がインフレを引き起こし、行き場を求めて株式市場に流れ込んでいるのが実態でしょう。
この資金の流れが好循環しているうちは問題ありませんが、ひとたび逆回転を始めると危険です。
先日報じられた米国の地方銀行の不祥事のような些細なできごとが、市場全体のムードを反転させるきっかけになり得ます。
リーマン・ショックを経験した投資家なら、小さな綻びが大きな波紋を呼ぶ怖さを知っているはずです。
「歴史的な円安」が日本株の第2波を呼ぶ
ーー米国市場に不安の種がある一方、日本株の先行きについてはどう見ていますか。
日本株に限って言えば、この上昇トレンドはまだ続くと考えています。理由は大きく二つあります。一つは、先行して上昇した米国株からあふれた資金が、次なる投資先として日本株に流入していること。
もう一つは、歴史的な円安によって、外国人投資家にとって日本企業の株が非常に割安に見えることです。株だけでなく、不動産を含めた日本のあらゆる資産が『買い』の対象になっていると言えるでしょう。
この流れは、日本企業の変革を促す側面もあります。海外から見て割安な企業は、TOB(株式公開買付け)やM&Aの標的になりやすい・・・。
そのため企業側も、株主還元を強化して配当を増やしたり、自社株買いを行ったりして、企業価値(時価総額)を高めて買収から身を守ろうとします。これが結果的に、株価をさらに押し上げる要因にもなっているのです。
日銀の利上げは織り込み済み、本当に警戒すべき懸念点
ーー株式市場が注目する日銀の金融政策ですが、「そろそろ利上げでは」と警戒する声も増えています。
日銀がいずれ利上げに踏み切ることは、多くの市場参加者がすでに想定しており、そのシナリオは株価にもある程度織り込まれていると見ています。
高市新政権の誕生で、政治的に利上げのハードルが上がったなどの見方もありますが、仮に想定通りに利上げが実施されても市場への影響は限定的でしょう。
私がそれ以上に注意すべきだと考えているのは「金融所得課税の増税」です。高市首相は過去に、株式投資などで得た利益にかかる税率を、現在の約20%から30%へ引き上げる案に言及しています」
ーーただ、それは過去の発言で、すぐに現実化するわけではないのでは。
おっしゃる通り、現時点で具体的な動きはありません。しかし、将来的にこのテーマが再び議論の俎上に載る可能性は高いでしょう。政府が「新NISA」の拡充を急いだのも、将来の増税を見据えた布石と考えるのが自然です。
もし猶予期間もなく増税が決まれば、「利益が出ているうちに売っておこう」といった売りが殺到し、相場急落の引き金になりかねません。
とはいえ、実施する際には事前の告知があるはずなので、あまり神経質になる必要はないと考えています。