「高市首相爆誕で日経平均5万円は通過点」著名投資家が明かす“5万5000円”シナリオ

本稿で紹介している個別銘柄:E・Jホールディングス(2153)、マルハニチロ(1333)、光フードサービス(138A)
世界的なインフレや地政学リスク、国内政治の混乱がある中でも、日本の株式市場は力強く上がり続けている。この勢いは本物なのか、それとも一時的なものなのか。
「いまの株高は、世界的な通貨安が生んだ“見かけだけの上昇”なのです」。
そう語るのは、投資歴30年のベテラン投資家・名古屋の長期投資家氏(@Nagoya_Tyouki)だ。通貨の価値が下落し、資産価格だけが吊り上がる・・・。そんないびつな構造は、「好景気だから株が上がる」という、かつての常識がもはや通用しない時代の到来を意味している。
では、投資家はこの「見かけの株高」という新しい現実のうえで、どのように立ち回り、資産を築いていけばよいのか。日経平均の先行きからインフレ時代を勝ち抜く投資戦略まで、なごちょう氏に話を伺った。
高市首相の解説本を発売しました!
目次
株価を動かす本当の正体は「世界的なインフレ」
ーーまず、現在の株価上昇を読み解くうえで、最も重要な要素は何でしょうか。
やはり「世界的なインフレ」です。今の市場を理解するうえで、これが最も重要な鍵だと考えています。
ーーその理由を教えてください。
話は2008年のリーマン・ショックまでさかのぼります。世界経済の崩壊を防ぐため、各国の中央銀行、特にアメリカのFRBは、市場に大量のドルを流す量的緩和政策を始めました。
その流れが決定的になったのがコロナ禍です。経済活動が止まるという前例のない事態に、日米欧の中央銀行は「お金を刷って配る」という、かつてならあり得なかった政策を実行しました。
通貨がこれだけ出回れば、お金の価値が下がるのは当然です。実際、金(ゴールド)の価格が過去最高水準まで上昇しているのは、法定通貨への信頼が揺らぎ、人々が資産を守るために実物資産へ資金を移している証拠です。
ーーこの動きは株式市場にどう影響していますか。
インフレが進むと、企業は製品価格を上げます。すると、実質的な利益は変わらなくても、名目上の売上や利益は増えるため、数字上は業績が良く見える。この「見かけ上の成長」が株価を押し上げる要因になっているのです。
ーーつまり、今の株高は企業の実力だけでは説明できないということですね。
その通りです。株価を測る基準である「円の価値」自体が下がっている。言い換えれば、いまの株高は、世界的な通貨安が生んだ“見かけだけの上昇”なのです。
だからこそ、PERやPBRといった従来の指標を過去の平均と比べるだけでは、正しい判断はできません。
例えば、プライム市場全体の平均PERは現在およそ18倍ですが、市場がインフレという新しい常識に適応する過程で、これが20倍程度まで評価されても不思議ではないのです。