日経平均株価5万円超え→4万5000円も?著名投資家が警鐘を鳴らす「高市ラリー」の反転シナリオ

本稿で紹介している個別銘柄:大成建設(1801)、鹿島建設(1812)、大林組(1802)、東京電力ホールディングス(9501)や関西電力(9503)、日立製作所(6501)、三菱重工業(7011)、ファーストリテイリング(9983)、アドバンテスト(6857)、東京エレクトロン(8035)、ニトリホールディングス(9843)、神戸物産(3038)
株式市場は今、1つの節目を迎えている。10月の高市早苗政権発足で「サナエノミクス」への期待が広がり、日経平均株価は急上昇。10月29日には終値で5万1000円台をつけた。
もっとも、この上昇が実体を伴う持続的なものか、政策期待と資金流入が先行した期待相場なのかは見極めが難しい。
では、難しい局面に投資家はどう対応すべきか。「天井圏」の可能性に備えつつ、次のチャンスも逃さない現実的な戦略はあるのか。
今回、『Financial Free College』(以下、FFC)CEOの松本侑氏(@smatsumo0802)に2025年後半の日本株の見通しと、個人投資家が今すぐ見直したいポイントを聞いた。
目次
海外マネーが日本株に流れる理由
ーー市場は5万円を超え、まさに「高市ドリーム」といった様相ですが、松本さんは現状をどのように見ていますか。
この株価急騰は、きわめて教科書的な反応だと思っていて。10月上旬に野村證券がだした4万9000円という予測も、市場はあっという間に超えていきました。これは私が自民党総裁選前から申し上げていた通りの展開です。
市場が最も重視するのは見通しのよさ、つまり政策の継続性です。思い出してほしいのが、前政権発足時の「石破ショック」。当時、市場がパニック的に売られたのは、財政引き締めや利上げといった「アベノミクスとの決別」という最悪のシグナルを恐れたからです。
今回は、その逆です。高市首相は「積極財政」と「金融緩和の継続」を掲げ、アベノミクス路線の継続を明確に打ち出しました。
この見通しのよさ、つまり政策の継続性が担保されたことで、海外の投資家は「これで安心して長期資金を投じられる」という“ゴーサイン”が出たと判断したのです。
その結果が、現状のセクター物色に表れています。
真っ先に買われているのは、国家予算が直結する「国策テーマ株」です。 例えば、インフラ・建設分野であれば、国土強靭化の筆頭である大成建設(1801)や鹿島建設(1812)、リニア関連の大林組(1802)など。
そしてエネルギー・原発関連では、再稼働期待で東京電力ホールディングス(9501)や関西電力(9503)といった電力株、ほかにもプラントを手掛ける日立製作所(6501)や三菱重工業(7011)にも買いが集まっています。
米国経済の停滞が「高市ラリー」の要因だった
ーーとはいえ、積極財政には「バラマキ」批判があり、企業業績も2025年度は減益・下方修正が報じられます。実態が伴わない株高ではないか、という懸念についてはどう思われますか。
おっしゃる通り、財政規律が緩むことへの心配は、将来的なリスクとして当然です。
しかし投資家の目線で言えば、短期的に財政出動は、企業業績や株価を押し上げるカンフル剤になります。
ですから、今本当に心配すべきは、財政規律そのものよりも、むしろ「その政策を最後までやり遂げられるのか」という政治の安定性です。
高市政権は国会で「少数与党」という弱点を抱えています。もし政権運営がうまくいかなくなれば、高まった期待が一気にかき消され、海外の投資家は一斉に資金を引き揚げてしまうでしょう。