株価が史上最高値更新!テンバガー投資家が教える「流れに乗る投資」の道

10月の高市早苗政権発足は、マーケットの活況を呼び込んだ。日経平均株価は市場最高値を更新し、円安も進む「高市トレード」は国内外の注目を集める。
米国の関税政策も気になるところだが、生命保険大手は2025年度の株価予測を修正し、来年には5万4000円に達するとの見通しもある。
では、株価はどこまで上がるのか。そして、投資家たちは何に気をつけるのか。
今回は、証券マンを経て、IR支援会社「フェアマネー」を立ち上げた代表取締役社長・永尾浩平(@FairMoney_Japan)さんに「守るべき投資ルール」などについて語ってもらった。インタビュー全2回の第1回。
目次
「時間の力」は効力がある
ーー新卒で証券会社に入社されたそうですが、その業界を志した理由を教えてください。
大学時代は「いつか起業したい」という目標を持っていて、それを達成するためには、世の中のお金の流れを学びながら仕事ができる「金融業界」がぴったりだと考えたからです。
入社前から、株式投資のシミュレーションゲームをしたり、金融の仕組みを勉強したりしていましたが、入社後は当然ながら「お客様の資産運用」が仕事の中心です。そのため、自分自身で投資を始めたのは、入社5年目・27歳くらいの頃ですね。
ーー会社員時代、運用の制限はありましたか?
証券会社に勤めていても自分の運用が「全くできない」というわけではありませんが、売買のたびに申請が必要です。そのため、短期的に動くアクティブな取引はほとんどできず、実質的には「長期投資しかできない」という環境でした。
ーー長期投資は最終的に成果を出しやすいとも言われますよね。その点はどう感じていますか?
まさに自分自身でそれを体感しました。7〜8年ほど株を動かさずに保有し続けた銘柄が、結果的にテンバガー(10倍株)になったんです。やはり「時間の力」は効力があると今でも実感していますね。
ーー7〜8年でテンバガーとは素晴らしいですね。
年率に直すと大した数字ではないんですが、最後の1〜2年で一気に伸びた感覚でした。コツコツ積み重ねてきた時間が報われた、そんな投資でしたね。
証券会社で学んだ“お金のリアル”
ーー証券会社では、どのようなお仕事をされていたんですか?
大きく分けて2つの時期がありました。前半の約10年間は、いわゆる支店営業で、富裕層や法人のお客様の資産運用を行う仕事です。地方の3つの支店を転々としながら、金融商品を販売していました。
後半の3年ほどは法人部門に異動し、上場企業の資金調達やM&A、IR(投資家向け広報)支援といった発行体側のサポートを行っていました。証券会社では「チャイニーズ・ウォール」といって、部署間で情報が行き来しないよう厳しく管理されています。そのため、後半はまるで別業界に移ったような感覚でした。
ーー35歳の時に独立されたとのことですが、その後半の経験が、今の仕事に生きているんですね。
今やっている実務は法人部門での勤務経験からくるものですが、社会人としての基礎は支店営業時代に叩き込まれたものなので、両方の経験をして良かったと思います。
時間の流れは早いもので、現在は起業して7年目になります。
独立して見えた“株価ではなく企業を見る”という視点
ーー独立されてから、投資に対する考え方は変わりましたか?
本末転倒かもしれませんが、日々の株価を追わなくなりました(笑)。証券会社時代は、毎日の株価チェックが習慣になっていたんですが、今は企業とプロジェクト単位で関わることが多いんです。だからこそ、「どう企業の本質的価値を上げていくか」という視点で考えるようになり、自然と時間軸が長くなりましたね。
ネット広告市場の拡大に賭けたDAC投資
ーーご自身の投資の中で、成功したと感じるエピソードがあれば教えてください。
具体的に言うと、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)という会社への投資です。今は上場廃止になりましたが、最後はTOB(株式公開買い付け)で買収され、結果的に大きな利益を得ることができました。
ーーどうやってその銘柄を見つけたのですか?
投資をしたのは、スマートフォンが登場し、ガラケーからスマホへと移行していく中、インターネットの世界がPCからモバイルへと一気に広がっていった頃のことです。
DACは、ネット広告を企業に代わって配信・管理するデジタル広告代理店のような仕事をする企業でしたので「これは、ネット広告市場が拡大する」と確信し、投資しました。その読みが当たって、結果的にテンバガーになったというわけです。マーケットの“流れ”に素直に乗れた投資でした。